抄録
【はじめに】投球側の肘関節痛を主訴に受診し,上腕骨遠位骨幹部疲労骨折と診断した3例を経験したので報告する.【症例】高校硬式野球部の1年生1例,2年生2例.全例とも同年4月~5月にかけて投球時に肘関節痛が出現し,6月に外来受診となった.全例初診時に左右差5°の肘関節伸展制限と,上腕骨遠位骨幹部の全周性に圧痛を認めた.単純X線では明らかな異常はなく,MRI STIR像で上腕骨遠位骨幹部の骨髄内に高輝度変化を認めた.投球動作の繰り返しによる疲労骨折と診断し,約2か月間投球を禁止し,その間に柔軟性の改善と体幹筋力強化を行い,全例競技復帰できた.【考察】上腕骨遠位骨幹部疲労骨折の早期診断には,肘関節伸展制限と上腕骨遠位の全周性の圧痛,MRI STIR像の骨髄内輝度変化が有用な所見と考える.4~5月は疲労骨折の好発時期であり,肘関節痛を訴える野球選手では同骨折も鑑別に挙げるべきであると考える.