2025 年 32 巻 2 号 p. 157-160
上腕二頭筋腱遠位部断裂は比較的稀な外傷だが,活動性の高い患者に発生した場合は手術加療が推奨される.症例は50歳男性,理学療法士でフィジーク(ボディビル)競技者である.転倒しそうな患者を支えた際に左上腕二頭筋腱遠位部断裂を受傷した.手術ではone incision法でアプローチし,外側前腕皮神経および後骨間神経を保護しつつ,完全断裂した上腕二頭筋腱を2本のスーチャーアンカーで橈骨粗面へ縫着した.術後2週間の外固定後に可動域訓練を開始した.術後3か月で現職へ復職,10か月でフィジーク競技の地区大会へ出場し優勝した.術後1年経過時,肘関節可動域制限はなく,日整会–日肘会肘機能スコアは100点であった.本症例では,確実な手術手技と適切な後療法により,筋力・筋肉の外観ともに高いレベルへ復帰が可能であった.