2025 年 32 巻 2 号 p. 86-89
尺骨肘頭骨折に対するtension band wiring(TBW)法は標準的な治療法であるが,Kirschner鋼線(K鋼線)のバックアウトは術後合併症として頻発し,固定力低下や皮膚障害の原因となる.本研究では,TBW法を用い,術式を髄内法,貫通法,ロッキングプレート併用貫通法(LP+貫通法)の3つに分類し,K鋼線のバックアウト距離を後方視的に比較検討した.2013年から2024年に施行した尺骨肘頭骨折52肘を対象とし,K鋼線のバックアウト距離,骨癒合,合併症,抜釘について評価した.全例で骨癒合が得られ,抜釘率および合併症発生率に群間差は認めなかった.K鋼線バックアウト距離は,LP+貫通群が貫通群に比べ有意に短縮したが,髄内群と貫通群の間に有意差はなかった.LP+貫通法はバックアウト抑制に有用であり,髄内法は貫通法に対する有効な代替術式となり得ることが示唆された.