本研究は,寝る動作における枕位置の特定が,個体の身体尺度(座高)とどのような関係にあるかを記述的に検討した.回復期リハビリテーション病棟入院患者15名と健常成人5名を対象に,座高を回転半径と見なし,枕の最適位置として選択される距離を測定した.その結果,選択距離と座高の間には極めて高い比例関係(R²=0.99)が観察され,選択距離を座高で無次元化したπ値は,群や左右条件の別なく0.75付近に収束した.一方,患者群では,この選択距離の安定性にもかかわらず,実際の寝る動作において頭部の到達位置に系統的なずれを生じる症例が認められた.これらの結果は,寝る動作における定置が身体スケーリングに基づく知覚現象である可能性,また身体機能の変化に対する知覚−行為システムの再組織化が,探索活動の制約により遅延する可能性を示唆する.