2026 年 18 巻 1 号 p. 229-234
妊婦の転倒リスクに関わる要因を明らかにするために,妊婦体型における障害物のまたぎ動作の特性を足部クリアランスと障害物への視線行動から検証した.若年健常女性6名は妊婦体験ジャケット着用の有無それぞれにおいて,両手での荷物の把持(あり,なし)と障害物の高さ(5cm,15cm)の2つを要因とした4条件のまたぎ動作課題を実施した.主たる従属変数として,またぎ動作遂行中の先行・後続下肢における足部クリアランスを測定した。また視線行動や妊婦体験ジャケット着用時の転倒恐怖感を計測した.その結果,妊婦体験ジャケット着用時には,(a)両手荷物把持条件下で高い障害物をまたぐ際の先行下肢の足部クリアランスが低下する,(b)荷物把持に関わらず低い障害物をまたぐ際の後続下肢の足部クリアランスが低くなることがわかった.さらに日常生活動作に対する転倒恐怖感が高くなることが明らかとなり,妊婦体型の女性が特定の条件下で転倒リスクを高める可能性が示唆された.