2016 年 9 巻 1 号 p. 37-40
空気流動を利用して物体の形状を知覚できることを明らかにするために実験を行った.予備実験では扇風機を利用して空気流動を起こし,空気の動きを遮断する物体の形状により空気流動がどのように変化するかを検討した.その結果,遮蔽する物体由来のうなりが生じることが示唆された.そこで,うなりを振動発生機から出力して空気振動を発生させ,遮蔽物による振動の変化を分析した.その結果,遮蔽物の形状に特有の波形及びスペクトル構造を得た.物体の形状の違いによる振動の差異を触覚によって弁別できるかを検討した結果,チャンスレベル以上の確率で形状由来の振動パターンを弁別することができた.本報告では,空気振動配列の構造が光学的配列と同様に物体表面の状態を反映するテクスチャーであることについて言及する.