2016 年 9 巻 1 号 p. 54-55
熟練ドライバーが生成する光学的流動と,非-熟練ドライバーが生成する光学的流動を,それぞれ動画としてディスプレイ上に提示し,それらを観察する実験参加者の注視点分布を視線計測装置により記録した.分析の結果,熟練ドライバーが生成する光学的流動(熟練ドライバーが運転する車両のビデオカメラによって撮影された走行時の前方風景の動画)を提示した場合には,非-熟練ドライバーの動画(熟練ドライバーと同様の方法で撮影)を提示した場合に比べて,それを観察する実験参加者の注視点はより遠位かつ左右に広がって分布することが確認された.一方,非-熟練ドライバーの走行時前方風景の動画再生速度を単に上昇させた場合には,注視点の分布は全体的に遠位にシフトするものの,遠位で左右に広がることはなかった.これらの結果から,熟練ドライバーが生成する光学的流動には,注視点を遠位左右(道路上のコーナー出口など)に向けて誘導する固有の構造──情報──が含まれている可能性について議論される.