2024 年 100 巻 p. 1-12
本稿の目的は,全国社会科教育学会の機関誌『社会科研究』について,その前身である廣島大学教育学部社会科学会期の第1号(1953年)から第14号(1966年),および日本社会科教育研究会期の第15号(1967年)から第25号(1976年)までの研究の特徴や傾向についてレビューするものである。社会科教育学研究は,その研究方法論の確立と歩調を合わせる形で発展してきた。『社会科研究』創刊当初の研究観は大きく変容し,1970年頃を境に,研究は,教育学や心理学,人文・社会諸科学の応用科学としての研究から,「社会科教育の原理の研究」を志向する,独自の研究対象と方法をもつ教科教育学としての社会科教育学研究へと移行していった。