会誌食文化研究
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『元就公山口御下向之節饗応次第』に記された戦国期毛利氏の饗応献立の再現とその活用
渡壁 奈央河野 知歩石橋 ちなみ岡田 玄也杉山 寿美
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2022 年 18 巻 p. 27-38

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抄録

本研究は、『元就公山口御下向之節饗応次第』に記された饗応献立の再現の過程と、再現した饗応献立の活用事例を報告するものである。『元就公山口御下向之節饗応次第』には、1549年に毛利元就が大内義隆を訪問した際の6回分の饗応献立が、用いた食器具とともに記されている。

6回の饗応献立の料理は類似しており、料理の提供順序に規則性が認められた。料理の再現は、毛利氏の家臣、玉木吉保が記した『身自鏡』や、同時期の史料の調理法に従った。調味料は、醤油、砂糖は用いず、味噌、塩、酢、酒、蜂蜜、水飴を用いた。獺(かわうそ)、白鳥等の入手が不可能な食材は、類似した食材で代用した。

再現した饗応献立は“サムライゴゼン~毛利食~”として商品化され、また、COVID-19感染症拡大により中止となったが、学校給食での提供が予定されていた。今後、観光面、教育面での活用が期待される。

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© 2022 一般社団法人 日本家政学会 食文化研究部会
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