2025 年 21 巻 p. 1-12
本研究は,2024年12月~2025年1月にベトナム,タイ,日本の若者を対象(775名)に伝統的食文化への意識についてアンケート調査した結果にもとづくものである。ベトナムでは祖先崇拝と結びついた食文化が根強く,家族を通じた継承が多い。タイでは仏教行事が影響を与えるものの,都市化による伝統行事の変化が見られる。日本では年中行事と食の関係が強いが,家族内の継承が弱まり,インターネットなどを通じた情報取得が主流となっている。一方で,日本では行事食の形式を大切にする意識が高く,伝統文化を新たな楽しみとして捉えている可能性がある。3か国の共通点は,行事食に「もち米」が多用されている。行事食を手作りしたいという思いがあるものの料理の外部化が増加傾向にあることである。伝統的食文化の継承には,現代のライフスタイルにあわせながら,次世代が伝統文化に対する新たな魅力を見出し,主体的に関わる仕組みを構築することが必要であろう。