抄録
1999年の地方分権一括法の成立以降,森林や林業に関わる事業(森林事業)の財源調達等を目的とした地方森林環境税を,37府県が導入してきた。税導入に際して各府県は,新たな事業と財源調達の必要性を説明し,住民に広く理解を求めた。また,住民参加や同税の効果検証のため第三者組織を設置した府県も存在した。しかし,これらの成果に関する研究蓄積は限定される。本稿は,「長野県森林づくり県民税」(長野森林税)を事例に,その制度運営と財源調達を明ら
かにすることを目的とした。結果は以下の通りである。まず,県は税導入時に示した使途の方針に従い長野森林税を充
当してきた。各課税期間末には,2つの組織が検証結果を示し,同税の改善すべき点を提起した。県はこれらに基づき使
途の方針を見直し,次の課税期間にはいくつかの成果があった。次に,森林事業全体の支出額を各期間の平均値で比較すると,税導入前(2005~2007年度)を上回ったのは第1期(2008~2012年度)のみであった。また,森林事業全体に充
当した一般財源の各期間の平均値は,いずれも税導入前を下回っており,県が示した一般財源の推移とは異なった。