日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: P2-207
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樹木の成長と環境
広葉樹二次林におけるナラ枯れギャップの更新と側方成長による修復
*岩佐 和輝
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抄録

ナラ枯れは、多樹種が混交した林の単木的枯損からナラ類による純林状の林での集団枯損まで様々なケースがある。本研究は、多樹種が混交した林でのナラ枯れギャップの辺縁部からの修復状況と更新木状況を明らかにし、施業の必要性について検討する。調査は新潟県阿賀町の約80年生の広葉樹二次林において行った。26個のナラ枯れギャップをそれぞれ囲むように長方形の調査枠を設置し、ギャップ面積とナラ枯れ被害木数、樹高2m以上の高木種については樹高・DBH・ギャップに接しているか否かを記録した。その結果、単木枯れのギャップ面積は60㎡以下で、辺縁部からの側方成長で埋まりつつあった。60㎡以上のギャップ内の更新木は15樹種、1047±794本/haであり、ナラ類はほとんど更新していなかった。ギャップ辺縁木は1ギャップにつき4個体以上で、ギャップ面積の増加とともに有意に増加した。ナラ枯れ前後での相対的な林冠樹種構成は、ブナで8%増加、ナラ類で14%低下した。以上の結果から、ギャップは閉鎖しつつあり、ナラ枯れによって原植生のブナ林への遷移が促進されているので、多樹種混交のケースでは施業の必要は無いことが明らかになった。

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