わが国の幼児教育の方向性を示す「幼稚園教育要領」、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、「保育所保育指針」等では、子どもにとっての自然との関わりの重要性が明記されている。戸外遊びや自然体験は偶然や不確実性を多く含み、その体験プロセスは未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力を育む基礎となると考えられる。樹木は子どもにとって身近な自然であり、保育の質(子どもが心身ともに満たされ豊かに生きることを支える環境や経験の質)を高める重要な保育環境である。本研究では、保育内容としての「乳幼児期の戸外遊び・自然体験」に着目し、「安心して挑戦できる環境要件」の多面的理解を通して、自然体験の幼児教育への展開方法を検討することを目的とした事例検討を行う。静岡市内のS幼稚園を事例とし、園庭における「木登り」、「ターザンロープ」という素朴な遊びの観察から、幼児が「繰り返し試す」ことに高い集中力を発揮する姿、特に次の行動に具体的に繋げていく力を発達・深化させる姿を発見し、「身体-身体」×「自然-身体」関係に支えられて子ども自らが身体的思考力・想像力・創造力を育むプロセスを考察する。