新編日本の活断層には,確実度IIIとして活断層でない可能性の高い活断層も記載されている。様々な建設事業を計画・実施する場合,こうした確実度IIIの活断層の取り扱いが問題となるが,確実度IIIの活断層が「要注意な第四紀断層(工学的に問題となる活断層)」でないことを示した報告は見られない。しかし,リスクコミュニケーションが重要となってきている昨今,要注意な第四紀断層であるか否かを明らかにしておく必要がある。ここでは,新編日本の活断層の「66豊橋」に記載されている確実度IIIの活断層を例に取り上げ,第四紀断層調査を実施した。この結果,赤色風化したクサリ礫を含む段丘礫層等を特定し,少なくとも後期更新世以降断層活動がなく,要注意な第四紀断層ではないと評価できた。こうした事例を通じて,要注意な第四紀断層の工学的評価の在り方について提示した。