2009年8月,台風9号による豪雨によって兵庫県北西部において,洪水災害および山腹斜面崩壊・土石流・がけ崩れなどの土砂災害が多数箇所で発生した。この台風による土砂災害の内,過去の風倒木被害地で発生した山腹斜面崩壊が多数を占めていた。そこで,本論文では,この台風で発生した山腹斜面崩壊の地形的特徴を整理した。さらに山腹斜面崩壊地周辺での調査,室内試験(不撹乱試料を用いた低圧一面せん断試験など)ならびに無限平衡斜面における安定解析を行った。その結果,過去に発生した風倒木被害地で70%近くの山腹斜面崩壊が発生していたこと,等が明らかとなった。また,表層が飽和することで土の粘着力が大きく低下し,安定解析で不安定となる厚さと崩壊深さが一致する。このことから,過去の風倒木被害地での山腹斜面崩壊は,降雨浸透による地盤強度の低下が主たる原因で発生すると考えられた。