抄録
本論文は,地下水の主要な溶存イオンデータの主成分分析とその主成分得点の非階層型クラスター分析によるグループ分類に基づいて,広域地下水の流動系を判別する方法を究明したものである。濃尾平野の長良川扇状地域を事例にして検討した結果,対象地域では地下水質の特徴は第1と第2主成分に縮約され,両者の主成分得点の関係は帯水層での鉱物溶解などの水質変化を表す4つのグループに分類された。そして,その水質グループに対応させたときの水質調査地点の分布から主に4つの流動系を抽出できることが判明して,これは,従来の地下水位の分布から求められるものと遜色ないことが認められた。一方で,河川水と地下水の水質の類似性を調べることによって,河川を主要な涵養源とする流動系が明らかにされた。