2014 年 9 巻 2 号 p. 233-253
2011年東日本大震災により,仙台市では多くの造成宅地被害が生じた。本論文では,2011年4月~7月にかけて実施した仙台市内の緩やかな地表面勾配を持つ5つの大規模造成団地(約5.7 km2,9,700戸)における地震被害調査結果を用いて,家屋被害,地盤の開口亀裂,不同沈下,水道管被害,ブロック塀の被害等について分析を行い,造成宅地の領域毎(盛土部,切盛境界部,切土部)の被害率,および,造成年代による被害率の変化等の検討を行った。その結果,谷埋め盛土部や切盛境界部では切土部に比べて被害が多く生じること,家屋の全半壊被害の大半が地盤の開口亀裂や不同沈下などの地盤の変状によって引き起こされていること,造成年代が古いほど被害率が大きくなることが定量的に示された。