2024年能登半島地震により発生した新潟県内の液状化被害を取り上げる。2024年1月1日16時10分(JST)に発生したこの地震は,能登半島の地下16 kmを震源とした内陸地殻内地震であった。新潟市は1964年新潟地震において,大規模な液状化被害を受けており,液状化しやすい砂地盤が広がっていることは周知の事実である。しかしながら,今回より震源の近い2004年新潟県中越地震と2007年新潟県中越沖地震において,液状化被害は報告されていない。よって,震源の遠い同じ内陸型地震である今回の地震で,新潟市内に液状化被害が発生することはあまり想定できなかった。しかしながら,結果として,新潟市内に大規模な液状化被害が発生した。地表面の揺れの強さを示す推計震度分布図(気象庁)を用いた比較により,新潟市は,中越地震や中越沖地震より,大きな震動が観測されており,さらにK-NETの地震加速度比較により,震動時間もそれらの地震に比べ長かったことが確認された。震動伝播には,震源距離だけでなく,断層の方向や地盤条件が大きく関連することを示唆する結果である。ここでは,新潟市のみならず,新潟県内で発生した液状化被害(比較的大規模に宅地や道路が被災したもの)を取り上げる。