地盤工学会災害調査論文報告集
Online ISSN : 2758-0490
最新号
令和6年能登半島地震による地盤災害特集号
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  • 小林 俊一, 大塚 悟, 古谷 元, 新保 泰輝
    2025 年3 巻1 号 p. 1
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 後藤 浩之, 志賀 正崇, 栗間 淳, 吉田 望
    2025 年3 巻1 号 p. 2-19
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    令和6年能登半島地震は,石川県能登半島を中心に北陸地域の広い範囲において地震による被害を生じさせた。内陸で発生したマグニチュード7を超える地震であったが,このような地震は我が国において歴史上とりわけ珍しい事象ではなく,近い将来に発生が危惧されるような規模の地震である。このため,将来の地震災害を軽減するためにも,本地震に関する記録を整理し残すことは重要といえる。本論文は,地盤工学会によって結成された災害調査団の活動のうち地盤震動部門の成果を中心に,地震動と地盤震動の特徴に関して整理したものである。各地の地震動,地盤震動を網羅的に示すことまでは叶わないが,代表的な地点におけるそれぞれの特徴について整理する。自然現象の理解には時間を要することもあるため,いずれも執筆時の知見に基づくものであることは予めお断りしたい。

  • 庄司 学, 宮島 昌克, 能島 暢呂, 飛田 哲男, 小野 祐輔, 丸山 喜久, 鍬田 泰子, 石川 敬祐, 朱牟田 善治, 奥津 大
    2025 年3 巻1 号 p. 20-40
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    2024年1月1日16時10分に石川県能登地方においてM7.6,最大震度71)とする能登半島地震が発生した。この地震に伴う強震動,地盤変状,斜面崩壊,津波などにより,上・下水道施設,電力施設,都市ガス施設,通信施設のライフライン施設には甚大な被害が発生した。地盤工学会 令和6年(2024年)能登半島地震 災害調査団 (金沢大学 小林俊一団長) のライフライン部門では,2024年1月上旬より2024年9月下旬までのおよそ9か月間,表 1の委員構成と役割分担のもと被害調査を継続的に実施してきた。本稿ではそれらの結果について以降,報告する。

  • 渡邉 健治, 松田 達也, 兵動 太一, 志賀 正崇, 工代 健太, 川尻 峻三
    2025 年3 巻1 号 p. 41-45
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    本報告は令和6年(2024年)能登半島地震 災害調査団のうち,「津波・地盤の相互作用」調査部門の調査内容を取りまとめたものである。今回の地震では,能登半島東部および一部の西部地域において津波による甚大な被害が見られたが,本調査グループは地盤工学会の調査団として「地盤の視点」を持って津波の被害調査を行い,防潮堤,防波堤,海岸護岸,閘門,海岸に隣接する道路盛土・法面工等に絞った調査を行った。一方,津波の遡上高や地形と津波高さの関係等,海岸工学分野の調査を最優先としていない。当調査グループの調査は主に珠洲市(一部,輪島)を中心に実施した。以下に調査履歴,図1に主な調査箇所を示す。2024 年1 月8 日:赤崎漁港(志賀町)※先行調査、2024 年2 月14 日:鵜飼漁港,鵜飼川,飯田港(珠洲市)、2024 年5 月14 日:鵜飼漁港,鵜飼川,飯田港,粟津海岸(珠洲市)、2024 年5 月15 日:輪島港,輪島漁港(輪島市)、2024 年10 月14 日:鵜飼川(珠洲市)※9 月21 日の豪雨の影響に関する調査

  • 保坂 吉則
    2025 年3 巻1 号 p. 46-68
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    2024年1月1日に発生した能登半島地震では,震央から160 km程度の距離にある新潟市内の観測点でも震度5強を記録し,市内の一部地区では液状化が発生して多くの戸建住宅や道路,下水道等に被害をもたらした。特に,信濃川と関屋分水路の左岸側に広がる新潟市西区内は,住宅等の被害が全壊から一部損壊までを含めて1万戸を超える(2024年末時点)甚大なものとなり,その大半は液状化の発生エリア内であった。筆者は,発災翌日より現地調査を実施し,まずはじめは西区から市内中心部の中央区までの被害発生範囲の概略把握を行った。全体概要の把握により,西区の被害範囲はかなり広域に及んだことと,被害の痕跡が確認できる時間や降雪期を考慮し,詳細調査の対象を砂丘縁辺部の斜面周辺の被害に絞って踏査を行い,その結果を本稿で報告する。対象地域は1964年の新潟地震でも被害が発生している。60年前のこの地域はまだ農耕地が大半で,詳細な被害状況は不明であるが,若松による日本の液状化履歴マップ1)には,新潟市中心部から続く被害範囲が寺尾(てらお)付近まで及んだことが示されている。土木学会の報告書2)には,砂丘斜面のすべりによる青山や寺尾で発生した国道116号(現在の県道16号)の側方流動に関する内容が記載されている。 したがって,砂丘縁辺部の被害は新潟地震に続く再液状化によるものであるが,市街地が拡大して市内有数の人口密集地となったことで,家屋被害は60年前より甚大となった。

  • 高原 利幸, 渡邉 健治, 酒井 直樹
    2025 年3 巻1 号 p. 69-73
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    国土地理院がまとめる「令和6年能登半島地震に関する情報1)」では,空中写真判読により100m2以上の斜面崩壊地及び土砂堆積箇所の範囲が公開されており,2,345箇所の土砂崩壊が確認されている。一方で,国土交通省による「令和6年石川県能登地方を震源とする地震による土砂災害2)」では,土砂災害は456件であることが報告されている。災害箇所のうち輪島市町野町牛尾大久保(わじましまちのまちうしおおおくぼ)の崩壊面積が530,739m2で一番大きく,輪島市市ノ瀬(わじましいちのせ)は234,826m2で第2位の崩壊面積である。町野町の崩壊個所には調査時点ではアクセスが難しい状態が続いていたが,市ノ瀬では救助活動が終了し,調査に入ることが可能となった。市ノ瀬の崩壊では,住民によって土石流が住宅を襲う様子が動画で撮影されており,多くの報道機関で放映された。映像からは流動的な土砂の流出が認められていたが,調査の結果,上流部で発生した複数の崩壊個所では土石流化するほどの水量がなく,崩壊土も岩塊状のものが主体であり,これらの岩塊が最下流の渓流に流れ込み,映像のような流動性の高い土石流になったものではないかと推測された。

  • 豊田 浩史, 中村 公一, 高田 晋
    2025 年3 巻1 号 p. 74-93
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    2024年能登半島地震により発生した新潟県内の液状化被害を取り上げる。2024年1月1日16時10分(JST)に発生したこの地震は,能登半島の地下16 kmを震源とした内陸地殻内地震であった。新潟市は1964年新潟地震において,大規模な液状化被害を受けており,液状化しやすい砂地盤が広がっていることは周知の事実である。しかしながら,今回より震源の近い2004年新潟県中越地震と2007年新潟県中越沖地震において,液状化被害は報告されていない。よって,震源の遠い同じ内陸型地震である今回の地震で,新潟市内に液状化被害が発生することはあまり想定できなかった。しかしながら,結果として,新潟市内に大規模な液状化被害が発生した。地表面の揺れの強さを示す推計震度分布図(気象庁)を用いた比較により,新潟市は,中越地震や中越沖地震より,大きな震動が観測されており,さらにK-NETの地震加速度比較により,震動時間もそれらの地震に比べ長かったことが確認された。震動伝播には,震源距離だけでなく,断層の方向や地盤条件が大きく関連することを示唆する結果である。ここでは,新潟市のみならず,新潟県内で発生した液状化被害(比較的大規模に宅地や道路が被災したもの)を取り上げる。

  • 中村 公一, 豊田 浩史, 高田 晋, 今西 将文, 白根 明穂
    2025 年3 巻1 号 p. 94-101
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    令和6年能登半島地震では,石川県から新潟県の広範囲において液状化が発生した。本検討では,液状化に伴う側方流動被害が大きい石川県河北郡内灘町(いしかわけんかほくぐんうちなだまち)を対象に,LiDARSLAMとRTK-GNSSを用いた地盤と家屋の変位量計測,地中レーダーを用いた地下水位把握,簡易動的貫入試験による換算N値と地下水位把握に関する調査を実施し,その結果を報告する。内灘町は図1に示すように石川県の中西部に位置している。そして内灘町の大部分は内灘砂丘上に位置し,東側には国営干拓事業による河北潟干拓地が広がっている。本検討が対象とする西荒屋(にしあらや)地区は内灘砂丘上に位置し,図1の正射画像の赤線で囲んだ範囲は,LiDARSLAM計測範囲である。

  • 災害協定関西地区連絡会調査団
    2025 年3 巻1 号 p. 102-112
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    福井県では2024年能登半島地震による甚大な被害は少なかったが,中小規模の被害は多数発生した。人的被害は,福井市 軽傷2名,あわら市 軽傷3名,越前町 軽傷1名である1)。福井県における地震被害の範囲と,被害の特徴を把握することを目標として,「災害協定関西地区連絡会調査団(地盤工学会)」を組織して活動を行った。調査団メンバー:荒井克彦(NPO福井地域地盤防災研究所),山本博文(福井大学教育学部),小嶋啓介(福井大学工学部),大堀道広(滋賀県立大学環境科学部),岡本拓夫(福井工業高等専門学校),吉田雅穂(福井工業高等専門学校),室田正雄((公財)福井県建設技術公社)。梅田祐一((株)デルタコンサルタント),片山俊宏(中央測量設計(株)),藤田有二((株)田中地質コンサルタント),掃部正紘((株)帝国コンサルタント)。調査団で1月23日に行った現地踏査結果,調査団メンバーが個別に行った現地踏査結果,自治体から提供された資料,既往資料などをまとめて報告する。調査団の活動は「災害時における調査の相互協力に関する協定(近畿地方整備局,自治体(大阪府,京都府,滋賀県,兵庫県,和歌山県,奈良県,福井県,大阪市,堺市,京都市,神戸市),関係学会((公社)土木学会関西支部,(公社)地盤工学会関西支部,(公社)砂防学会,(公社)日本地すべり学会関西支部,(一社)日本応用地質学会関西支部))」に基づいて実施した。ここでは参考文献2)の概要を報告する。

  • 窪田 上太郎, 太田 史朗, ハザリカ へマンタ, 風間 基樹
    2025 年3 巻1 号 p. 113-123
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は,石川県,富山県,新潟県の広範囲に甚大な液状化被害をもたらした。特に,石川県河北郡内灘町及びかほく市周辺は被害が顕著であり,液状化による地盤の側方流動や,それに伴う水路閉塞等が確認され,被害状況把握や被災メカニズムの解明を目的とした現地調査1)~4)や室内試験5)が実施されている。地震発生後の災害復旧にあたっては,被害状況の迅速な把握が不可欠であるが,被害が広範囲に及ぶと状況把握が困難となる場合がある。そのため,被害状況を効率的に把握できる方法が必要である。近年,合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar, 以下SARとする)を用いて,衛星画像から地表面状態を観測できる干渉SAR解析が実用化されている。干渉SAR解析は,SARで地表の同一地点を2時期で観測し,得られた反射波を干渉させて得られる位相差を実際の距離変化に換算することで地表面変位を推定する技術である。ただし,液状化等によって地表面の散乱状態が著しく変化した場合は,地震前後の反射波を干渉させることができず,地表面変位の推定が困難になる。そのため,本論文では,地震前後の地表面の散乱状態の変化を表す指標であるコヒーレンスを用いて,地震による地盤変状範囲を推定する。既往研究では,干渉SAR解析を用いた液状化地域の把握や宅地造成地の変動検出等の試みがなされている。小林ら6)は,干渉SAR解析で得られる地震前後の地表面の散乱状態の変化(コヒーレンス変化)を利用して,2011年東北地方太平洋沖地震に伴って発生した液状化地域の把握を試みた。その結果,浦安市とその周辺で,現地調査で確認された液状化/非液状化範囲とコヒーレンス変化の分布に空間的に良い相関が認められ,干渉SAR解析の結果から液状化範囲を調査する際は,コヒーレンス画像の利用が可能であるとの結果を得ている。ただし,コヒーレンス変化から一意に液状化の発生有無を特定することは原理上不可能であるため,その限界を把握したうえで調査に活用することが重要と結論付けられている。また,宮嶋ら7)は,干渉SAR解析を用いて,2011年東北地方太平洋沖地震で発生した宅地造成地の地盤変状検出を試み,実際に地盤変状が確認された箇所が,干渉画像上において局所的な位相変化領域や非干渉領域として検出されることを示した。これらの結果からも,地震や液状化等に起因する地盤変状範囲の抽出には,干渉SAR解析のコヒーレンス変化に着目すべきであることが示唆される。本論文の目的は,令和6年能登半島地震によって甚大な液状化被害を受けた石川県河北郡内灘町及びかほく市を対象に干渉SAR解析を実施し,地震発生前後の地表面のコヒーレンス変化から,地震による地盤変状範囲を抽出することである。併せて,抽出した地盤変状範囲と実際の被害状況との整合性を確認するとともに,地形・地質等に着目し,変状要因を考察することを目的とする。

  • 太田 史朗, 佐々木 朋子, 窪田 上太郎, 風間 基樹
    2025 年3 巻1 号 p. 124-136
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
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    2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は,石川県,富山県及び新潟県の広範囲に液状化による被害をもたらした。石川県河北郡内灘町室地区(かほくぐん うちなだまち むろちく)では,県道を挟んだ片側50 m程度の範囲内において,県道より水路側で地震時の液状化に起因する大きな地盤変状が生じたのに対し,県道より砂丘側では目視可能な変状が無かったことが報告されている1), 2)。筆者らは,この要因を明らかにする目的で,地盤の変状に相違があった2地点で乱れの少ない試料のサンプリングを行い,X線CT画像よる分析及び室内土質試験を実施した。本報告は,これらの調査結果から,内灘町室地区で発生した地震による変状メカニズムについて考察を行うものである。

  • 先名 重樹
    2025 年3 巻1 号 p. 137-150
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
    研究報告書・技術報告書 フリー

    2024年1月1日16時10分に発生した能登半島地震(Mj=7.6)では,輪島市(わじまし)や志賀町(しかまち)で震度7が観測され,北陸地方(福井県(ふくいけん)・石川県(いしかわけん)・富山県(とやまけん)・新潟県(にいがたけん))の広範囲において建物被害や液状化被害が数多く確認された。中でも液状化被害においては,側方流動を伴う大規模な液状化現象も確認されている1)。液状化被害は,同一地点・地域で繰り返し発生する災害であり,液状化発生地点を詳細に調査・把握することは,将来の液状化被害を予測および軽減する上で極めて重要である。筆者は,液状化被害の即時推定の高精度化を目指し,これまでに2011年東北地方太平洋沖地震1)をはじめとして,液状化発生地点の情報を可能な限り網羅的に調査し,その地点の地盤・地形情報と,推定される揺れの強さ(震度等)との関係を検討した上で,液状化発生率の検討を行なってきている2)3)4)。本報告では,能登半島地震の液状化被害地点情報の収集等の調査に基づく液状化発生状況について報告し,分布と被害の特徴を概観すると共に,約250mメッシュ(4分の1地域メッシュ5))単位の微地形区分図や面的推定震度分布に基づいた,地震動強さと液状化地点の関係について検討を行い考察する。

  • 谷本 俊輔, 石原 雅規, 佐々木 哲也
    2025 年3 巻1 号 p. 151-157
    発行日: 2025/06/30
    公開日: 2025/07/11
    研究報告書・技術報告書 フリー

    令和6年能登半島地震では,内灘砂丘の東側端部の緩傾斜地において,住宅地等に液状化や側方流動による著しい被害が発生したことがよく知られているが,そのさらに内陸側に造成された河北潟干拓地においても,堤防その他の構造物に液状化被害が発生した。本稿では,著者らが地震後に行った河北潟干拓堤防等の被災状況に関する現地調査の結果を報告する。

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