医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
研究報告
訪問看護師はどのように高齢療養者の「その人らしさ」を捉えているか
-国内文献のメタ統合の試み-
松浦 志野伊藤 隆子
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2023 年 20 巻 1 号 p. 52-63

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抄録
 日本の訪問看護師は高齢療養者の「その人らしさ」をどのように捉えているのかを明らかにすることを目的とし、医中誌Web版を用いて、「訪問看護」「その人らしさ」等のキーワードを含む過去10年間(2012〜2022)の文献を検索し、訪問看護師による高齢療養者の「その人らしさ」を尊重した看護実践が豊富に記述されている11論文を選出した。これらの文献から訪問看護師は高齢療養者の「その人らしさ」をどのように捉えているのかに関連する具体的な記述を抜き出し、メタ統合の手法を参考に二次分析を行った。その結果訪問看護師は、【過去の療養者の姿から「その人らしさ」を類推する】【現在の療養者の姿から「その人らしさ」を了解する】【療養者が将来に向けて描く「その人らしさ」を探る】ことで高齢療養者の「その人らしさ」を捉えようとしていた。高齢療養者が自分らしく生き抜き、そして「その人らしく」死ぬことを支援するためには、訪問看護師は、自身の「その人らしさ」の捉え方を自覚し磨き上げ、その人しか生きられない固有の人生により近づけるよう、専門職としての能力を発揮することが必要であることが示唆された。
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© 2023 順天堂大学医療看護学部
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