抄録
【目的】家庭科教育は、生活をよりよくするために主体的に実践する能力と態度を育成することを目指している。本研究は、家庭科の学習内容を日常生活でよく実践する人とあまり実践しない人がいることに注目し、個人差を生じさせる要因を明らかにすることを目的としている。本報告では、個人差に影響を及ぼすと考えられる要因として生活背景や生活観をとりあげ、実践との関わりについて検討を試みた。
【方法】男女共修となった平成元年の学習指導要領のもとで家庭科を学んだ大学生を対象として、質問紙法により調査を行った。調査期間は2001年10∼11月、有効回収率は95.3%、有効回答数は328(男性139、女性189)である。調査内容は、生活背景や生活観および小·中·高等学校家庭科学習内容として選んだ70項目について、やり方を知っているか、現在行う機会があるか、どの程度実践しているか、生活を営む上で大切であると思うか、どこで学んだかである。
【結果】70項目のうち6割以上の項目を実践する女性は3割弱、男性は1割に満たない。殆ど実践しない男性は、実践する男性に比べて、家庭生活を快適で豊かな気持ちで過ごしていないと回答した人が多い。また、もっぱら母親が家事·育児を行う家庭に育ち、将来家庭を築いた時家事·育児は主に女性が行うと回答した人が多い。従って、既存のジェンダー枠にとらわれない多様な生活観を学ばせることが重要である。