抄録
[目的]本研究は、小·中·高等学校家庭科「住生活」に防災視点をとり入れた指導内容の位置づけや教材開発をどうするか追求することを目的に行っている継続研究の一端である。本報では、中学校「選択家庭科」において防災視点をとり入れた授業実践を行い、それに対する生徒の学習評価から効果的な指導内容·方法、および教材のあり方について検討することを目的とした。[方法]防災視点をとり入れた授業案と教材を作成し、これをもとに函館市内の公立中学校第2学年男子13名、女子15名の計28名を対象に、「選択家庭科」で家庭科担当教諭が授業実践した。授業実施期間は平成13年5月∼12月で、週1時間である。防災視点をとり入れた授業案と教材の効果を、毎授業後の生徒の学習評価をもとに分析·検討した。[結果](1)受講した生徒は震度4以上の地震体験がないために、防災に対する興味·関心が低かった。(2)函館市でも今後起こりうる地震を想定して、部屋の危険度チェックや家具の固定方法等を示した視聴覚教材や体験実習授業によって、生徒の興味·関心が高まった。(3)ライフライン断絶の対処法として行った非常炊き出し実習授業を高く評価していた。(4)災害弱者からの情報収集や地域の人々と共に「DIG(災害図上訓練)」をとり入れた授業を行った結果、生徒は災害時の家族や地域の人々との協力体制の必要性に気づき、防災視点から自分の地域に対する理解や関心を深めた。