日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 11
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第46回大会口頭発表
衣生活に関連した用具に関する調査研究
-中学生を対象にして-
山本 紀久子*服部 由美子
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抄録
【目的】
教材として実験や実習に使用する用具は、学習効果を左右することが考えられ、学校で使用する用具について学習者がどの程度理解しているか、また生活様式の変化とともに使われなくなった用具と新しく取り入れられた用具を学校教育の中でどのように扱うか、指導者はその実態を把握したうえで教材や指導方法を工夫することが必要である。これからの衣生活に関する教育のあり方を検討するために、これまで大学生を対象に衣生活に関連した用具について家庭における保有状況と使用状況を調査し、主として家族の形態による違いを明らかにしてきた。 本研究では、家庭科を学ぶ生徒を対象に用具に対する理解の程度を把握することを目的として、中学生を対象に衣生活関連用具の調査を行った。
【方法】衣生活に関連した用具に焦点を絞り、平成12年度使用小学校用「家庭」教科書2社4冊および中学校用「技術・家庭」教科書2社4冊の計8冊を用いて、品目、領域、表示方法を調べ、衣生活に関連した用具として、裁縫用具、ミシン縫い、アイロンかけ、洗濯、家庭の仕事・衣服の手入れ、エプロン等の身じたく、手芸などに使用する用具および織り機・編み機など225品目を抽出した。そして、これらを102品目に整理し、近年普及している「コードレスアイロン」、被服製作に用いる「カーブ尺」「目打ち」「毛抜き」「へら台」「かけ針」「くけ台」「仕上げまんじゅう」の8品目を加えた110品目について、家庭に保有しているかどうか、また最近1年間に使用したかどうかを求めた。調査は、福井市内の中学校の3年生636名(男子313名、女子323名)を対象に、質問紙法による調査を実施した。調査票は家庭科担当教員により授業中に配布され、その場で記入・回収された。調査時期は、平成14年2月である。なお、家庭に死蔵されている場合には、興味・関心の程度により記憶にない用具も存在し、これらの用具は実際には保有されていても、学校では名称や使い方を指導することが必要であることから、日常生活において認識されている用具を調査した。
【結果】家庭に保有されている衣生活関連用具の品目数は、男子では63.6士17.54品目、女子65.6±12.47品目を示し、大差なかった。最近1年間に使用した品目数は、男子21.1±19.74品目、女子38.2±18.92品目を示し、女子の方が多いことが認められたが、ばらつきが大きいことから、男女とも衣生活に対する興味・関心には個人差がみられた。家族の人数と品目数との相関係数は、保有数では男子γ=0.201、女子r=0.129、使用数では男子γ=0.150、女子γ=0.059を示し、女子よりも男子の方が家族の人数が多いほど保有数および使用数が多い傾向を示した。保有率が90%以上を示す品目は、手縫い糸、ミシン糸、手縫い針、ミシン針、まち針、安全ピン、バケツ、ゴム手袋、ハンガー、洗濯かご、洗濯ばさみ、糸きりばさみ、巻尺、ものさし、エプロン、タオル、長靴、なべ、さいばし、10%以下の品目はロックミシンと織り機等であった。これに対して、使用率は品目により男女差がみられるが、男女とも60%以上を示した品目は、手縫い糸、手縫い針、安全ピン、ハンガー、洗濯ばさみ、タンス、タオルであった。衣生活に関連した用具の家庭における保有状況と最近1年間の使用状況は品目、性別、家族形態により異なり、教科書に記載されているさ用具が必ずしも家庭に保有されてないことが明らかとなった。またほとんどの品目について最近1年間に使用した人数は半数以下であることから、学校教育において用具の名称と使い方について適宜確認する必要性が示唆された。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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