抄録
【目 的】中学生段階の食生活は家族からの影響が大きく、また家族との関わり方にも影響があるのではないかと思われる。一方、セルフエスティームは家族との関わり方に関係があるとの報告もある。したがって本研究では、健康を意識した食生活管理能力を養う食教育のあり方を検討することを目的に、第1報の調査結果をもとに、?食生活に対する意識とセルフエスティーム、体型に対する意識との関係性、??の結果と家族に対する意識(家族のことが好きか、家族に愛されて育てられたと思うか)との関係性について検討を行い、基礎的資料を得たので報告する。
【方 法】第1報と同じ。セルフエスティームについては、セルフエスティームに関する項目からセルフエスティーム得点を算出し、その平均値を基にセルフエスティームの高い者と低い者とに分類した。体型に対する意識については、?身体を意識する感情や行動に関する項目、?身体に関する劣等感に関する項目をそれぞれ得点化し、自分の体型に対して肯定的な者と否定的な者とに分類した。また、やせ願望については体型モデル図の中から、標準体型として選出したモデルを基準に自己の体型や理想とする体型がどの程度の差があるかをみた。これらを基に、食生活に対する意識や家族に対する意識との関係性を検討した。
【結果および考察】以下に結果の概要を述べる。
?食生活に対する意識が高く、基本的な食習慣も身についている者は、セルフエスティームが高く、さらに自己の体型に対しても肯定的な受け止め方(「身体の見た目さえ今と違っていれば、もっとすばらしい人生があるとは思わない」、「自分の身体に恥ずかしいと思う部分はない」、「人前にでたときに、自分の身体全体やどこか特定の部分に対して引け目を感じない」など)をしている者が多かった。これらには相関関係が認められたことから、食生活の自己管理には自分自身や自分の体型に対する受け止め方が影響すると考えられる。
?やせ願望の有無と食意識には相関関係が認められた。具体的には、やせ願望のある者は「太りたくないので、食べたい物でも我慢する」、「食事に出された物は全部食べない」という意識の者が多かった。しかし一方、「腹が立つとよく食べる」という者が多く、やせ願望のある者はそのときの気分に影響を受けやすい傾向があると窺える。
?家族に対して肯定的な意見をもつ者(「家族のことが好きである」、「家族に愛されて育てられたと思う」)は、食生活に対する意識が高く、基本的な食習慣が身についていた。また、自分の体型を肯定的に受け止め、「自分にはいくつか優れた点があると思う」等自分に対して満足感をもち、「あらゆる面(勉強や部活動など)で自分よりもできる人を見たとき、その人を見習ってがんばろうと思う」等の向上心も有していた。
??の結果と家族に対する意識には相関関係が認められたことから、食生活の自己管理には家族に対する意識(家族のことが好きである、家族に愛されて育てられた)が影響すると考えられる。 今回の調査結果から、セルフエスティーム、食生活や体型に対する意識、家族に対する意識との関係には相関関係が認められた。本調査対象者の女子では、大部分がやせ願望を有していたが、その中でも特に自分の体型に対して劣等感を持っている者については、食に対する意識やセルフエステイームが低く、家族に対しても否定的な意見をもっていた。また、理想とする体型については男女差が認められ、女子ではやせ願望を有する者が多いのに対し、男子ではやせ願望を持っている者は少なく、やせ願望よりもむしろ筋力をつけて自分の体を作り上げたいという意識をもっていた。