日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 74
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2003年度例会研究発表
食生活の自立をめざす食教育・調理実習の考察~小中高大の食教育の連携研究~(第1報)
-家庭科教員に対する調査より-
畑江 敬子田中 京子*栗原 恵美子流田 直小西 雅子
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抄録
1 目的 児童・生徒の現在や将来の生活を考えたとき、食生活の自立が欠かせないものであろう。自立のための食教育を、家庭科はどのように扱えばよいか。調理実習をはじめとしてどのような働きがけが有効なのか。児童・生徒に家庭科教員がより効果的な指導・支援を行えるかを探り、提案することを目的とした。 第1報では家庭科教員が児童・生徒の実態をどう捉えているかを明らかにし、その指導・支援の内容を分析することを目的とした。  
2 方法 首都圏の家庭科教員対象にアンケート調査を実施し、分析・考察した。実施時期:平成14年7月 回収率:69%回答数 :小学校 67人、中学校 36人、高校 139人(計242人)内容 :?家庭科教員から見た児童生徒の「食」「調理」に対する関心、及び関心の変化や、関心への影響力     ?意識して行っている食教育の項目 ?調理実習の困難点と工夫 ?児童・生徒が家庭で実践できるような手だて  
3 結果と考察 家庭科教員が捉えている「食」や「調理」に対する児童・生徒の関心や興味は、小学校では93.4%の教員が「非常にある・ややある」と答えている。中学では75.4%、高校では67.6%と、校種別にみると小学校の教員が一番関心が高いと捉えている。これは年齢が小さいほど家庭生活の時間が長く、食関係への関心も新鮮であり、調理への期待感が高いから、また学年があがるにつれ興味関心の幅が「食」以外に広がるからなどが考えられる。「調理」に対する関心はどの校種も「食」に関する関心を上回ってかなり高い数値が上がっている。この結果から、「調理」を切り口とし「食」や生活全般を身近に考える生徒を育てたいと考える。 次に家庭科教員が実際、食教育や調理実習をどのように実施しているかを明らかににした。食教育で意識している事柄としてどの校種も基本的な栄養知識や調理技能に力を入れている。加熱方法や切り方や修得料理数も段階的に増えている様子がわかった。栄養面では小学校は、3色の食品のはたらき、中学は5大栄養素・6つの基礎食品群、高校で摂取量の分量のめやす、4分類が加わっていることがわかった。また、衛生面・安全面での指導では調理器具・添加物・保存方法や期間・食中毒等かなり力を入れている。調理実習で困っている点として、狭いとか調理専用の部屋がない等施設設面が第1位、次に児童生徒の体験不足や技能の貧弱さがあがり、時間内に収めるため食材用具の準備・片づけなど教員側でかなり時間をかけ、負担が大きいことがうかがえた。小学校や中学校では給食との関連もあがっている。実習の工夫としては、手作りVTRや、役割分担・時間配分等記入しやすいワークシートや班分けのコツなど事前指導に力を入れている様子が分かった。メニューを決めるポイントや児童生徒を上手に動かし準備や片づけを行う等、具体的な工夫がわかったので、実践研究につなげたい。 家庭科の実習だけでは技能の定着は難しい。そこで家庭実践を支援する手だてを探った。長期休暇中の課題を位置づけ、保護者のコメントの欄を設けたり、1回だけでなく数回の実践を記入できる実践カード形式にしたり、工夫を加えたアレンジメニュー実践を課したり、課題の出し方も様々な工夫がなされている様子がわかった。その他家庭科通信や保護者会等で直接保護者に伝える等、多岐に渡る内容があがった。家庭実践を支援する様々な工夫点をまとめて公にすることで、より調理実習が安全に行われ指導が深まると考える。また問題点を行政面やマスコミ等社会へ発信することで、改善されるきっかけになるのではと考える。今後の課題としては、家庭科の中だけでなく広く外部に発信し、更に情報収集し、実践を繰り返して、よりよい教育活動につなげることである。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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