本研究では, 我が国の食事には欠かせない料理である汁について, 0.4~0.9%の低塩分濃度のみそ汁, すまし汁に飯を組み合わせた場合の塩味の嗜好性 (好ましさ, 許容性) を, 汁に含まれる吸い口や具の影響も含めて検討した.
みそ汁に白飯, すまし汁に桜飯を組み合わせた評価においては, 「みそ汁の次に白飯」「すまし汁の次に桜飯」を食べた場合に塩分濃度の低い汁の嗜好性は低くなり, 白飯との口中調味のしづらさあるいは桜飯の塩分濃度への順応現象によるものと推察された. また, レモン果皮, 葉ねぎ, ごぼうを含む汁の評価においては, 「みそ汁の次に白飯」を食べた場合にレモン果皮を含むみそ汁の, 「すまし汁の次に桜飯」を食べた場合にレモン果皮, 葉ねぎを含むすまし汁の, 塩分濃度の低い汁の嗜好性が高かった.
すなわち, 飯と組み合わせることで低塩分濃度の汁の嗜好性が低くなること, レモン果皮や葉ねぎがその嗜好性を補うことが明らかとなった.