日本家政学会誌
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運動部に所属する大学生の食習慣, 睡眠習慣, 及び体組成における季節の影響の検討
三戸 夏子金子 圭希
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2021 年 72 巻 7 号 p. 401-414

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抄録

 四季のある日本では食事摂取量に季節の影響があることが報告されている. 日本の夏の平均気温は上昇傾向にあり, 暑熱環境下において日常的に部活動等で運動する若年層の食習慣を検討する必要がある. そこで本研究は, 運動習慣のある若年男性の食習慣, 睡眠習慣, 及び体組成における季節の影響について検討することを目的とした. 大学の野球部に所属する同一の対象者に対して夏季及び秋季の二つの季節において, 食事調査, 食べる速さ, 食事における咀嚼の程度, 及び睡眠習慣の調査, 及び体組成の測定を行った. その結果, 体重, BMI, 体脂肪率, 体脂肪量は夏季と比較して秋季で有意に増加していた. 食事摂取量は, 夏季は秋季と比較して複数のエネルギー調整後の栄養素摂取量が有意に少なくなっていた. また日本人の食事摂取基準 (2020年版) の値との比較では, 夏季は秋季よりもカリウムとビタミンB1の値を満たしていない人の割合が高かった. 一方, カルシウム, ビタミンB6, 食物繊維総量, 及び食塩については夏季及び秋季ともに値を満たしていない人の割合が高かった. また夏季は秋季と比較して嗜好飲料類の摂取が多かった. さらに, クロノタイプの夜型傾向を示す休日の睡眠中央時刻が遅い群は, 朝型傾向を示す休日の睡眠中央時刻が早い群と比較して夏季において複数のエネルギー調整後の栄養素摂取量が有意に少ないことが示された. この傾向は秋季には認められなかった. 以上の結果から, 近年の夏の気温の上昇による暑熱環境下で日常的に部活動等を行う若年層について, 季節及び睡眠パターンを考慮した食教育が必要であることが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本家政学会
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