2023 年 74 巻 3 号 p. 113-128
本研究の目的は以下の3点である. (1) 被服選択における正と負の理想自己を分析し, 分類する. (2) 被服選択における理想自己と友人関係の志向性や被服行動との関連性を検討する. (3) 被服選択における理想自己の持ち方の違いによりクラスター分けし, 友人関係の志向性や被服行動などの特徴を明らかにする.
予備調査をもとに, 「被服選択における理想自己」尺度を作成した. 因子分析の結果, 正の理想自己「きれいさ」・「かわいらしさ」・「精神的強さ」の3因子と, 負の理想自己「社会的負のイメージ」・「非友好的」2因子, 人により正負が変わる「派手・個性」因子が抽出された.
被服選択における理想自己と友人関係の志向性や被服行動には多くの点で関連性が認められた. 正負の理想自己の持ち方により4つのグループに分類された. グループ間で, 友人関係の志向性などで差があった.
被服選択における理想自己への意識は, 友好的な人間関係や社会から求められているものをどの程度意識するかと関係しており, 被服関心や被服の実践的行動の違いにも関連するといえる.