2026 年 77 巻 2 号 p. 51-57
本研究では, 青年後期における家庭生活に関わる未来展望と, ストレス状況下における自己調整能力との関連を, 大学生を対象として探索的に明らかにすることを目的とした. 特に, ストレス状況下における自己調整能力の内面的適応力 (対自的ER) と他者との関係における適応力 (対他的ER) のそれぞれが, 家庭生活に関わる未来展望とどのような関連をもつのかを検討し, 家庭生活に関わる未来展望の形成に向けた示唆を得ることとした. 本研究によって明らかになった知見は, 以下のとおりである.
「見通しの明確性」「希望・自信」「指向性」「渇望」といった未来展望の要素と, 対自的ER及び対他的ERの間に有意な正の相関が確認された. このことから, 家庭生活の未来像の形成には, ストレスや困難への柔軟な対応力が影響することが示唆された. 家族との協力経験が多い学生は, 将来もパートナーとの協調や対話を重視し, 円滑な関係を築きやすくなると考えられる. 一方, 「将来に向けた準備」と自己調整能力との間には関連が見られず, 大学生は家庭形成への具体的準備には消極的であることが示された. 今後, 家政教育にストレスマネジメントや対話を促進するプログラムを導入し, 未来展望の形成を支援することが求められる. また, 未来展望の形成プロセスや社会的要因の影響を明らかにするため, 異なるライフステージを対象とした研究の充実が必要である.