日本家政学会誌
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α-ラクトアルブミンのペプシン分解過程における高分子性物質の生成について
酵素および化学処理したα-ラクトアルブミンからの生産性
石田 哲夫
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キーワード: 高分子性物質
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1988 年 39 巻 3 号 p. 203-208

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抄録
α-ラクトアルブミン (α-La) にペプシンを作用させると, 未処理のα-Laとは異質の抗原性を有する高分子性物質 (HMF) が生成するが, HMFの生成に対するα-Laの酵素および化学処理の影響につき検討した.
トリプシソやキモトリプシンにより前処理したα-La, あるいはトリプシンやキモトリプシン処理したα-Laより得た, 分子量5,000以下のペプチドにペプシンを作用させても, HMFの生成はほとんど認められなかった.また, α-Laのペプシン処理により生成したHMFとその抗血清の反応は, ペプシン, キモトリプシンおよびトリプシン分解物の順で強く阻害された.
一方, α-LaのS-カルボキシメチル化やカルボキシル基のアミド化により, HMFの生成は著しく低下した。また, チロシンの水酸基のニトロ化では, 45%がニトPt化を受けるまではHMFの生産性は低下したが, 約68%の修飾により再び増大した.
さらに, HMFは, ペプシンやキモトリプシン処理において, 天然のα-Laよりも分解を受けにくいことが認められた.
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