日本家政学会誌
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39 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 辻 啓介, 辻 悦子, 中川 靖枝, 故鈴木 慎次郎
    1988 年39 巻3 号 p. 187-195
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    各種DFのin vitroにおけるNa結合能と高血圧自然発症ラット (SHR) の血圧に与える影響とを調べた.その結果, DFのうち, カルボキシル基を有する酸性多糖類, フィチン酸などにNaとの結合, あるいはイオン置換反応が認められた.K-AlgとCa-AlgとについてSHRへの給餌試験を行ったところ, これらのDFでは1%食塩負荷にもかかわらず血圧の上昇を抑制した.糞Na排泄量も増え, 吸収を阻害することが明らかとなった.以上の結果から, Alg塩摂取による, 消化管内Na/KあるいはNa/Caのイオン交換による血圧調整作用が示唆された.
  • 生亀 眞清, 本間 清一, 相田 浩
    1988 年39 巻3 号 p. 197-201
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    固定化微生物を用いるD-ソルビトールからL-ソルボースへの酸化に関する基礎的条件について検討し, 以下の結果を得た.
    1) D-ソルビトールからL-ソルボースへの微生物変換を行う菌株のスクリーニングを行いG. suboxydans var.α IFO 2354菌を最適菌として選択した.
    2) 上記の菌の対数増殖期後期の休止菌体をアルギン酸カルシウムゲルで包括固定化することにより, 酸化活性の安定性が増大した.
    3) 本固定化菌体によるD-ソルビトールからL-ソルボースの生産は15回の繰り返し反応 (300時間) を通じて安定であり, 少量の窒素源を添加することにより固定化菌の賦活化をはかることが可能であった.
  • 酵素および化学処理したα-ラクトアルブミンからの生産性
    石田 哲夫
    1988 年39 巻3 号 p. 203-208
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    α-ラクトアルブミン (α-La) にペプシンを作用させると, 未処理のα-Laとは異質の抗原性を有する高分子性物質 (HMF) が生成するが, HMFの生成に対するα-Laの酵素および化学処理の影響につき検討した.
    トリプシソやキモトリプシンにより前処理したα-La, あるいはトリプシンやキモトリプシン処理したα-Laより得た, 分子量5,000以下のペプチドにペプシンを作用させても, HMFの生成はほとんど認められなかった.また, α-Laのペプシン処理により生成したHMFとその抗血清の反応は, ペプシン, キモトリプシンおよびトリプシン分解物の順で強く阻害された.
    一方, α-LaのS-カルボキシメチル化やカルボキシル基のアミド化により, HMFの生成は著しく低下した。また, チロシンの水酸基のニトロ化では, 45%がニトPt化を受けるまではHMFの生産性は低下したが, 約68%の修飾により再び増大した.
    さらに, HMFは, ペプシンやキモトリプシン処理において, 天然のα-Laよりも分解を受けにくいことが認められた.
  • pH, 加熱, 光, 酸素の影響
    津久井 亜紀夫
    1988 年39 巻3 号 p. 209-215
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    フィリピン産の紫ヤム (UBE : ヤマノイモ科) が, フィリピンにおいての乾燥粉末とされ各種食品に用いられている.このUBEからAN色素を塩基性酢酸鉛法, イオン交換樹脂法およびエーテル沈殿法により抽出し, 紫甘藷から岡様に抽出したAN (SP) およびブドウ (GJ), 紫トウモロコシ (PC), 赤キャベツ (RC) の市販ANと, pH, 温度, 紫外線および酸素の影響について比較検討した.さらにUBE ANから3種の精製ANを単離し, 温度, 紫外線, 酸素の影響についても検討した.
    1) pH 4.0以下では各種AN液は極大吸収波長の移動はなく, pHの低下とともに吸光度 (525nm) は急激に上昇し, 濃赤色へと変化した.UBEの色調はpH2.2および3.2で赤色2号と同じで, しばらく放置しても退色はなかった.pH4, 8と高くなると淡赤色へと変化し, さらにpH7.0および8.0では紫から青色へと変化した.
    2) UBEは30℃で60時間まで色素残存率が100%であり, また60℃で8時問加熱による色素残存率は90%であった.次に80℃, 8時間の加熱処理を行うと, 各種ANの色素残存率はUBEが80%, RCが63%, PCが61%, GJが52%およびSPが49%で差が認められ, UBEが他のANに比較して最も安定であった.
    3) 各種AN液を室温で殺菌灯 (257.3nm) を用いて, 8時間照射した.その結果各ANとも色素残存率は60%以下で低く, とくにUBEが他のANに比べて低かった.
    4) 各種AN液に暗所で酸素を4時間 (200ml/min) 送入した結果, 酸素による影響は認められなかった.
    5) UBEから3種のAN-PA, PB, PCを単離し, pH3.0における温度, 紫外線, 酸素の影響について調べた結果, 80℃で8時間の加熱処理では色素残存率がほとんど同じであった。殺菌灯 (257.3nm) を8時間照射したところPAが40%, PBが10%, PCが14%で, 残存率に差がみられるが, 各ANとも不安定であった.酸素による影響は認められなかった.
  • 村山 篤子, 松下 恭子, 山田 早苗, 川端 晶子
    1988 年39 巻3 号 p. 217-224
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    κ-カラギーナンゲルの凍結・解凍における糖添加の影響について, 離漿率の測定, クリープおよびDSCによる測定を行い検討した.試料としてκ-カラギーナン濃度1~5%ゲル, ショ糖, 粉あめを10~60%添加した1%κ-カラギーナンゲルを用いた.各ゲルの測定は, 調製直後, 25℃24時間保持, 凍結 (-20℃ 24時間保持) 後25℃3時間放置解凍の3条件下で行った.次の結果を得た.
    1) κ-カラギーナンゲルの離漿率は濃度上昇に伴い著しく減少した.25℃24時間保持ゲル, 凍結・解凍ゲルともゲル濃度2%以下での離漿率は著しく高くなったが, とくに後者できわだっていた.糖添加ゲルでは, 糖濃度増加により離漿は顕著に抑制された.
    2) クリープ測定による粘弾性係数は, κ-カラギーナン濃度が増すにつれて増大したが, 凍結・解凍処理ゲルの粘弾性は他の2条件に比べて著しく小さい値を示した.また回復率は, κ-カラギーナンの増加に伴い減少した.糖添加ゲルでは糖濃度が増すにつれて回復率は増大し, 弾性に富んだゲルを形成した.
    3) 糖添加ゲルのDSC測定では, 凍結・解凍に伴う発熱および吸熱ピーク温度は糖濃度増加により順次低下した.またピーク面積から算出した転移熱量も同様に減少した.これはゲル中の自由水の減少によるものと考えられ, 離漿率の減少ともよく対応している.
  • 子ども部屋に関する研究 (第2報)
    中島 喜代子
    1988 年39 巻3 号 p. 225-232
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to grasp how giving the children's rooms exerts influence upon how to use the rooms and also upon family's everyday life.
    In this paper, the dwellers who live in the apartment houses of 3LDK type, have been inquired.
    The following results were obtained.
    1) The children's rooms are given priority on using the rooms, and securing the rooms for children prompts to divide the bed rooms of parents and children.
    2) The reasons why the mothers have given and want to give the rooms to children are as follows : mothers' stress is laid upon children's studying and their independence in daily life much more than upon the cultivation of children's independent mind and the protection of privacy between parents and children.
    3) As for the mothers' valuation of the change caused by giving the children their own rooms, it is found that many mothers place a high value on children's independence both in daily life and in mental life, and the protection of privacy between parents and children, while few of them point out its disadvantages.
  • 石橋 源次
    1988 年39 巻3 号 p. 233-236
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    雄および雌の加齢ラットに0.5%cho, 2%食塩および塩化カリウムを含む食餌で4週間飼育し, 血清, 肝臓および心臓の脂質レベルを調べた.
    1) choと食塩の過剰摂取は血清および肝cho値を高くした.
    2) 塩化カリウムとchoの過剰摂取は食塩ほどではないが, 雄で肝脂質量, cho, TG, 血清cho, 動脈硬化指数, 心臓の脂質量およびchoが高くなった.
    3) NaとKの過剰摂取による脂質代謝への影響は雄と雌とではその応答に若干の違いがあった.
  • 米ならびに米デンプンの調理科学的研究 (第14報)
    庄司 一郎, 倉沢 文夫
    1988 年39 巻3 号 p. 237-241
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    もちおよびうるち米に対して水洗, 硫酸銅処理した試料についてアミログラフによる粘度試験を行い, 次の結果を得た.
    1) 3回の水洗操作による溶出物は精白米の各成分を100として, 粗脂肪 : 74%, 灰分 : 55%, 粗タンパク質 : 7%が溶出した.また, もち米とうるち米ではほぼ同様の溶出量であった.
    2) 水洗処理したもちおよびうるち米のアミログラムからはもち米では水洗回数が多くなるにつれて最高粘度が大となったが, うるち米では水洗をしても最高粘度は, 増加しなかった.
    3) 硫酸銅処理したもちおよびうるち米のアミログラムからはもち米では水洗精白米よりさらに最高粘度が大となったが, うるち米では硫酸銅処理すると最高粘度が逆に低下し, 負に作用した.
    4) 米粉のアミログラム特性値を求める場合には, うるち米では米粉そのままを用いてもよいが, もち米においては水洗によって酵素を除去するか, 酵素阻害剤である硫酸銅を添加するなどの考慮が必要と考える.
  • 松山 容子, 山下 久子
    1988 年39 巻3 号 p. 243-251
    発行日: 1988/03/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
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