日本家政学会誌
Online ISSN : 1882-0352
Print ISSN : 0913-5227
ISSN-L : 0913-5227
ゴボウのペクチン性多糖類について
渕上 倫子岸上 洋子佐々木 敦子
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 41 巻 10 号 p. 957-963

詳細
抄録
ゴボウは比較的多量のペクチン性多糖類 (組織100g中にウロン酸として993mg) を含有していた.ペクチン性多糖類を分別抽出すると, 希塩酸可溶性区分 (pA) : 酢酸塩緩衝液可溶性区分 (pB) : ヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性区分 (pC) はおのおの39.4% : 53.9% : 6.7%であった.pBのエステル化度は38.4%で, 塩化カルシウムを添加することにより沈殿を起こした.pA, pB, pCのDEAE-セルロースカラムクロマトグラムはおのおの異なった, ゴボウのペクチン性多糖類のおもな中性糖組成はアラビノースとガラクトースであった.ゴボウを1時間加熱調理すると組織中のpAの割合が増加し, pB, pCの割合が減少した.しかし, 多量の分子量の大きいペクチン性多糖類が組織中に残存していた.ゴボウは中性溶液中で加熱することによりトランスエリミネーションを起こしにくいpB (低メトキシルペクチン) を多く含むため, 加熱により軟化しにくい.
著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top