日本家政学会誌
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ラードの水煮におけるショウガの抗酸化力について (第1報)
ショウガ香気成分とスライスショウガの影響
河村 フジ子岡田 真美
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1992 年 43 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

新・古の各ショウガの水煮香気成分の同定と水煮香気成分およびスライスショウガのラードに対する抗酸化力について検討した結果を要約すると次のようになる.
(1) ショウガ水煮香気成分として, 新たにlinalyl propionate, 2-undecanone, citronellyl acetate, α-copaene, α-cubebene, nerolidol, farnesol, α-cedrolを同定した.
(2) ラードにショウガを加えて水煮すると, ショウガ水煮香気の主要成分であるcitral, geraniol, geranyl acetateが顕著に減少する, そのうち, geranyl acetate は新ショウガに多い成分である.
(3) ラードに対するショウガ水煮香気成分の抗酸化力は, 古ショウガはわずかであるが, 新ショウガは, かなり顕著である.
(4) ラードに対する標準物質の抗酸化力は, citral, geraniol は eugenolと同程度であるが, geranyl acetateは, これらより顕著である.
(5) ラードの水煮に対して, 生スライスショウガは強い抗酸化力を示した.その程度は新ショウガのほうが古ショウガより顕著である.
(6) スライスショウガを水煮すると, 30分以内に抗酸化力は急速に低下する.

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