総合健診
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原著
行動変容に向けての新しい強化子を用いた生活習慣改善の試み
―ウォーキングの歩数量に応じたポイント付与システム―
宮脇 尚志大上 圭子清瀧 千晴山本 裕之森山 賢治
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2009 年 36 巻 5 号 p. 379-384

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抄録
運動療法として一般的に行われているウォーキングにおいて,歩数量の増加を促す全く新しい方法として,「歩数量に応じて特典ポイントを付与する」という強化子を用いることにより,生活習慣病改善に望ましい行動を実行および継続させる試みを行った。西日本地域在住の希望者に対してメモリー機能付き歩数計の装着を行い,1,000歩の歩行量ごとに1ポイントを付与し,ポイントを蓄積することにより1ポイント = 1円換算で金券との交換ができる施策を行った。参加者は男性1,392名,女性210名であった。1日平均歩数では,男性の1日平均歩数は10,045 ± 6,373歩であり,年齢と共に増加する傾向を示した。また,女性の1日平均歩数は8,373 ± 5,682歩であり,40~ 49歳の群の歩数量が他の年齢群に比べ少ない傾向を示した。1日平均歩数は,男女共に平成17年度国民健康・栄養調査における日本人の平均歩数に比べて3割程度多い歩数であった。4~ 10月までの月別で検討すると,いずれの月も男性の歩数は女性よりも1,000歩程度多く,季節による有意な歩数変動は認めなかった。また,男女共に歩行開始270日を超えても歩数量の有意な低下は認めなかった。以上の結果から,歩数量に応じた「ポイント付与」は,歩数量を増加および維持させるための新たな強化子の一方法として有効であると考えられた。
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© 2009 一般社団法人 日本総合健診医学会
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