抄録
脂質異常症の診断基準値・管理基準値は、わが国の冠動脈疾患発症率・死亡率が欧米に比べ低いため厳しくなっている。診断基準値はスクリー二ングのための基準値である。管理基準値は絶対値ではなく目安であり、薬物を使って基準を達成することを示しているのではない。禁煙、運動・食事など生活習慣の改善が治療の基本になる。薬物療法は日本人を対象にした大規模臨床試験で効果と安全性が確立された薬剤が推奨される。改訂ガイドライン2012年ではリスクの評価としてNIPPON DATA80リスクチャートを用いた絶対リスクの活用、高トリグリセライド血症ではnon-HDLコレステロール値を二次目標とすることに加え、包括的な動脈硬化性疾患の管理が示される予定である。