日本人を対象とした大規模臨床試験の結果を含む多くのエビデンスが集積され、また、高血圧以外のリスクや他疾患を考慮した治療の重要性に基づき、日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインが2009年に改定(JSH2009)された。
リスクの層別化は、血圧分類名がI度、II度、III度高血圧に改められ、正常高値が加えられた。リスクは第1~3層に分類し、第2層にメタボリックシンドローム、第3層に慢性腎臓病(CKD)が追加されている。
24時間にわたる厳格な血圧コントロールの重要性から、診察室血圧および家庭血圧それぞれの降圧目標が設定された。降圧目標値は、診察室血圧に関して心筋梗塞後患者、脳血管障害患者が加えられており、家庭血圧の降圧目標値はより具体的に設定された。
治療の基本方針では、正常高値群でも糖尿病・CKDを含めた臓器障害や心血管病があれば高リスク群として管理することに変更されている。生活習慣の修正は、食塩摂取量の制限、減量、運動療法、アルコール摂取量の制限、果物や野菜の摂取の促進、飽和脂肪酸や総脂肪量摂取の制限、禁煙の重要性が示されている。
降圧薬治療は、単剤もしくは併用使用を目的に最初に投与すべき降圧薬は、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5剤に変更された。
24時間にわたる降圧の重要性が強調され、併用療法の必要性、合剤の使用によるアドヒアランスの改善などが示されている。
本稿は、JSH2009の第1章疫学~第5章降圧薬治療および第7章他疾患を合併する高血圧(メタボリックシンドローム、特定健診・特定保健指導における血圧管理)を要約して紹介した。
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