抄録
本研究は、建設および建設関連業務に従事する労働者で生活習慣病健康診断を平成5年と平成20年に受診した30歳代から50歳代の人々を対象にして、年代別の検査値および検査値異常者の割合を現病歴を含めて平成5年と平成20年での変化を調べたものである。
平成20年は平成5年に比較して、男性の場合、BMI値、血圧値、総コレステロール(TC)値、尿酸値はすべての年代で空腹時血糖値は50歳代で有意に高かったが、トリグリセリド(TG)値はすべての年代で有意に低かった。肥満者の割合は40歳代と50歳代、高血圧症者、高尿酸血症者の割合はすべての年代で、高TC血症者割合は30歳代と40歳代で、高血糖値者割合は50歳代で有意に増加したが、高TG血症者の割合はすべての年代で減少した。一方、女性の場合、BMI値はすべての年代で有意に低く、「やせ」の割合はすべての年代で増加した。高血圧症者の割合は変化がなかった。TC値は、40歳代と50歳代で有意に高く、TG値はすべての年代で有意に低かった。高TC血症者の割合は、全ての年代で有意に増加し、高TG血症者の割合は40歳代と50歳代で有意に減少した。空腹時血糖値および高血糖値者、高尿酸血症者、脂肪肝者の割合は変化を認めなかった。
最近の15年間における建設業労働者では、男性の検査値および異常者の割合は増加しているが、女性のそれは男性ほど変化を認めなかった。