総合健診
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原著
喫煙習慣が若年男性と女性の上腕―足首脈波伝達速度に及ぼす影響について
吉村 良孝江崎 一子今村 裕行長野 力樋園 和仁平川 史子米持 英俊安房田 司郎
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2012 年 39 巻 5 号 p. 575-578

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抄録
 動脈硬化は、虚血性心疾患や脳血管疾患の危険因子である。そのため早期に上腕―足首脈波伝達速度(brachialankle pulse wave velocity; baPWV)を測定し、動脈硬化度を把握することは、予防医学の観点から重要なことと思われる。喫煙習慣とbaPWVの関連についてはいくつか報告されているが、若年者を対象とした報告はあまりみられない。本研究の目的は、喫煙習慣が若年男女のbaPWVに及ぼす影響について検討することである。被検者は高血圧や肥満ではない健康的な学生で、男性は21名であり、喫煙群9名、非喫煙群12名、女性は23名であり、喫煙群10名、非喫煙群13名である。喫煙群の累積喫煙量はpack/yearsを用いて調べた。男性の累積喫煙量は8.1±3.4pack/yearsであり、女性は4.1±2.4pack/yearsであった。男女それぞれの栄養素等摂取状況には有意な差は認められなかった。男性の喫煙群のbaPWVは非喫煙群に比較して有意な高値を示した。しかし、女性の両群の間には有意な差は認められなかった。この結果から、若年男性における喫煙習慣は、動脈硬化度を亢進させる可能性が示唆された。
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© 2012 一般社団法人 日本総合健診医学会
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