総合健診
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日本総合健診医学会 第40回大会
日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム2 健康長寿のために総合健診で必要とされる検査とその意義
血清総ホモシステイン濃度の測定は健康長寿を達成するために必要な検査である
-骨血管相関の視点-
鏑木 淳一
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2012 年 39 巻 5 号 p. 602-605

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抄録

 高齢になっても、生活の質を良好に保つためには、動脈硬化症、骨関節疾患を予防し、治療することが重要である。近年、動脈硬化症の進行は骨粗鬆症にも関連することが明らかにされた。ホモシステインは、動脈硬化症に対する危険因子の一つとされ、また骨粗鬆症においては、生理的コラーゲン架橋の低下などにより骨質の劣化、さらに骨粗鬆症を増悪させることが報告されてきた。本研究では、血清ホモシステイン濃度高値は、現在のわが国におけるメタボリック症候群の診断基準において、メタボリック症候群該当群、予備群、非該当群に認められることが明らかにされた。かかる非該当群の男性では、高血圧症を伴っており、血清総ホモシステイン濃度が、動脈硬化症の進行を予測する上で、現在のわが国におけるメタボリック症候群の補完となりうることが示された。また閉経後女性では、骨密度が低下する場合、血清総ホモシステイン濃度が骨密度正常群に比べ高くなり、脂質異常症あるいは耐糖能異常を伴うことが示された。以上の成績から、血清総ホモシステイン濃度は、動脈硬化症および骨粗鬆症が進行する予測因子となりえ、いわゆる「骨血管相関」の病態を考えるために重要であることが示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本総合健診医学会
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