総合健診
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日本総合健診医学会 第40回大会
日本総合健診医学会 第40回大会・シンポジウム5 健診からのエビデンス発信体制
精度管理の立場から
鈴木 隆史
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 39 巻 6 号 p. 801-805

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抄録
 現在の精度管理調査の立場から健診の技術水準の維持を評価する1つの方法は、日本総合健診医学会の精度管理調査に参加している総合健診施設が理想的な一定水準の画像診断、心電図診断と検体検査技術をもって運営されていることを、サーベイの解析結果の集積により客観的に示すことであり、その集積が重要なエビデンスとなると考えている。精度管理調査の基本方針は、「精度管理調査で配布した検体の測定値は、現在の臨床検査技術の水準において、合理的に良好といえる範囲(許容範囲)内にあれば、良好な精度管理の状態にあると考える」である。検体検査では、個々の施設の測定結果がその集団の中で平均値±2SDに入れば「A」評価、画像と生理機能検査では個々の施設の判定結果が複数の専門家による判定において妥当とする範囲にあれば「A」評価と判断している。年4回行われる調査で、施設では自らの足元を確認し、委員会では全国の施設データを解析し、その集束状況など、具体的な数字によるエビデンスとしてフィードバックしている。そして、この評価結果は優良施設の認定基準に組み込まれており、その結果として、現在、全国から参加している約400の健診施設の99%以上が総合判定において「A」評価を得ており、良好な精度管理状態にあると評価されている。このように多くの施設が一定の水準を満たし、全項目「A」評価の施設も少なくないことは、個々の施設とそこに従事する医師、コメディカルなど健診にかかわる方々、さらには機器メーカーをも含めた日頃の努力の賜物である。精度管理調査は健診の根底を担うものとして重要であり、調査に参加している施設の社会的信頼を高めるために今後もエビデンスを発信していく所存である。
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© 2012 一般社団法人 日本総合健診医学会
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