総合健診
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総合健診とテクノロジー
ウイルス性肝炎の検診にあたって知っておきたいこと
四柳 宏
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 40 巻 2 号 p. 281-286

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抄録

 肝炎ウイルスマーカーを測定する最大の目的は肝炎ウイルス陽性者を早期に発見し、肝細胞癌を予防することである。現在、肝細胞癌患者の8割以上は、ウイルス肝炎を基礎疾患としている。HBV, HCVともウイルスキャリアを早期に発見し、抗ウイルス療法を行うことで肝細胞癌の予防が可能である。
 HBs抗原陽性者を発見した場合、その多くは慢性肝炎である。慢性肝炎の自然史のどの時点に被検者があるかを判断し、予後や治療の必要性を決定する必要がある。予後の推定は各種ウイルスマーカーの測定である程度可能であるが、専門医との連携が必要である。いずれにしても「肝機能が正常だからHBs抗原陽性でも専門医への紹介は不要である」と考えるのは間違いである。
 HCV抗体陽性者を発見した場合、HCV-RNAを測定し、ウイルスの感染が持続しているかを評価する必要がある。HCV-RNAが陽性の場合、慢性肝炎であることがほとんどである。従ってすべてのC型肝炎患者は抗ウイルス療法の適応がある。殊に血小板数が15万/μLの場合は進展した線維化を有する可能性があり、治療を急ぐ必要がある。治療にあたってはガイドラインを参考にすることが望ましい。また、C型肝炎の場合は生活指導も大きな役割を持つ。肝硬変・肝細胞癌への移行を防止するためには節酒、糖尿病の予防が重要である。

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© 2013 一般社団法人 日本総合健診医学会
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