2013 年 40 巻 2 号 p. 287-292
健診における 3D心エコー法の活用について、現状の 2D心エコーの問題点と 3D心エコーの現況を踏まえながら今後の展望に焦点をあてて概説した。一般に健康診断では問診、内科診察、心電図、胸部X線検査、血液検査等が行われ、二次検査の1つとして、心エコーが行われる。通常は 2D心エコーが行われることがほとんどであり、その有効性については異論がない。しかしながら、本来 3Dの心臓を平面で把握する 2D心エコーではその評価に限界がある。さらに 2D心エコーでは検者の技術、熟練度により評価が左右される可能性がある。とくに、左室における壁運動評価や左室駆出率、左室容積を評価する際に、記録された断面に依存せざるを得ないといった問題は重要な点である。一方、近年の技術革新の進歩は目覚ましく、最近のリアルタイム 3D心エコーは高時間分解能、高画質であり、解剖学的構造の正確な把握のみならず、任意の 2D断面を切り出すことが可能である。また、リアルタイムフルボリュームの実現により、非常に精度の高い左室容量計測が可能となった。
リアルタイム 3D心エコーでは検査後にフルボリューム画像から必要な断面を自由に切り取ることができ、2D心エコーでは得られない断面を得られること、かつ非常に精度の高い定量化が短時間で可能で、再現性も良いことから今後、二次健診の心エコーにおいても積極的に取り入れられていく可能性がある。今後あたりまえに 3D心エコー法が行われるような時代になるか否かは、更なる技術進歩もさることながらユーザーの意識改革も必要であると思われる。