総合健診
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原著
職域健診における非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)改善症例の検討
山中 麻希北川 元二斎藤 征夫高橋 玲
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2015 年 42 巻 6 号 p. 629-636

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抄録

 本研究は、栄養摂取状況と脂肪肝の改善との関係を明らかにするために、2007年と2012年に生活習慣病健康診断と食物摂取頻度調査による栄養調査を実施できた男性420名を対象に、脂肪肝の有無、身体計測値、血液検査値、栄養摂取状況の経過について調査した。食事調査は食物摂取頻度調査(FFQ)により実施した。
 2007年に超音波検査により脂肪肝と診断された150名のうち、飲酒量および肝炎ウイルスマーカーから非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断された者は118名であった。このうち2012年に脂肪肝を認めなかったNAFLD改善群は33名、NAFLD不変群は85名であった。NAFLD改善群では体重は6.4%、BMIは6.2%、ウエスト周囲長は4.8%減少しており、いずれも有意な減少を認めた。血液検査では肝機能検査、脂質検査の改善を認めた。一方、NAFLD不変群では肥満や血液検査の改善は認めなかった。栄養摂取状況は、NAFLD改善群の総エネルギー摂取量は2007年33.8±8.5kcal/kg標準体重/日、2012年29.1±7.0kcal/kg標準体重/日と有意な減少を認めた。また、糖質摂取量が有意に減少していた。食品群では主食芋摂取量が有意に減少していた。NAFLD不変群では栄養摂取状況の大きな変化は認めなかった。また、NAFLD改善群では定期的に運動する者の頻度が増加していた。
 NAFLDの改善には内臓脂肪型肥満の改善が重要であり、栄養学的にはエネルギー摂取量、糖質摂取量の制限が関与すると考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本総合健診医学会
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