総合健診
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総説
人間ドック健診における一次予防を目的とした健康情報活用支援システムの概要
髙林 健示髙橋 為生沖 島助長澤 亨日野原 茂雄
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 42 巻 6 号 p. 637-649

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抄録
 「こころと身体の健康は、自分で守り、自分で創る」という理念をもとに「健康リテラシー支援システム(NavBEE:ナビー)」を開発した。一次予防を支援するツールであり、人間ドック健診・住民健診受診者、企業従業員及び家族が対象となる。生活習慣、検査結果、病歴・投薬、メンタルチェックで構成され、質問紙形式である。
1.プロフィールは、氏名、生年月日、身長、体重、(BMI)、性格。
2.生活習慣は、飲酒、喫煙習慣、運動習慣、睡眠、食習慣、行動変容ステージ、保健指導。
3.検査結果は、メタボ判定、腹囲、BMI、血圧、空腹時血糖、HbA1c、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、尿酸、クレアチニン、ヘモグロビン、ヘマトクリット、尿糖、尿蛋白、便潜血。
4.病歴・投薬は、脳卒中、心臓病、腎不全、貧血、高血圧、糖尿病、脂質異常症。
5.メンタルチェックは、①こころの健康状態、②ストレス、③コーピングスタイル(ストレス対処法)、④サバイバル力である。
 回答結果を受検者と医療者の双方が理解し易いイラストでビジュアル表示したことで、こころと身体の健康状態を視覚的に捉えることになる。イラストによる「見える化」は、健康への認知を容易にし、行動変容を促進する。
 「こころの健康状態チェック」は独自に作成した。チェック時に気持ちが暗くならないように肯定的質問で構成されている。「うつ病自己評価尺度SDS」との相関があり、信頼性統計量Cronbachアルファ値は0.86である。
 病気ではない個人が健康を振り返る習慣を身につけることは難しい。したがって、職場などの個人が所属する組織が健康について取り組む必要がある。この際NavBEEの持つ履歴機能は、有効な保健指導を可能にする。受検者と医療者が結果画面を共有し、インタラクティブコンセントを作ることにより、健康への意識を高めることが実現できる。
 職場及び家庭における健康のバランスは重要であり、人間ドック健診では、こころと身体の健康を統合的に考えていく必要がある。
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© 2015 一般社団法人 日本総合健診医学会
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