抄録
近年、医療の質や安全性の向上だけでなく医療の高度化や複雑化に伴う業務の円滑な遂行に向け、チーム医療が重要視されている。「健康日本21(第二次)」など、近年の健康増進に関する方針では栄養に関する事項が詳細に策定してあり、栄養士および管理栄養士が積極的に取り組んでいかなくてはいけない状況にある。治療に関する栄養管理はもちろん、健康の保持・増進を図る上での栄養管理となり、病気の予防に対して更に重要であると考えられる。
東海大学医学部付属東京病院では通常の人間ドックに加え、年齢を経ることによって発生する老化の兆候を、様々な検査によって評価し、食事や運動、その他の医学的サポートによって予防・軽減すること目的とした「抗加齢ドック」を実施している。
「抗加齢ドック」では管理栄養士が受診者に対し栄養学的支援を積極的に行っている。ドック受診後の昼食として抗酸化作用のある食材を数多く使用した「抗加齢御膳」の立案と提供、受診者の問診票の回答や検査結果に基づいて健康状態と栄養との関係性についてアドバイスなどを行っている。栄養のアドバイスとしては、食物摂取頻度調査 FFQgを用いた聞き取り調査によるアドバイスや、受診者からの栄養に関する質問に対する回答も行っている。このように、ただ検査を受けるだけではなく、味覚や視覚を介した意識づけを追加することで、更にアンチエイジングについての気付きを得られるよう工夫している。
健康寿命を延ばし“サクセスフル・エイジング”を実現するために、生活の中心となる食事の効果的利用が必要不可欠だと考える。多職種および産学官の連携を通して様々な角度から栄養学的支援が可能である。管理栄養士としての栄養学的支援の方策と将来的な在り方について、今後も様々な角度から、受診者一人一人に対して効果的な方法を検討していきたい。