総合健診
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臨床検査と総合健診
臨床検査における精度管理
鈴木 隆史
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 46 巻 2 号 p. 226-235

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抄録

 臨床検査には大きく、検体検査、生理機能検査や画像検査、さらに特殊検査として内視鏡検査がある。医師は、問診や診察に加え、必要と思われるこれら検査を組み合わせることにより疾患・病態の診断、治療とその後の経過観察を行っていく。そのため臨床検査は重要な役割を担っている。健診においてはその多くが症状のない受診者が対象であり、検査の占める割合は大きなものとなっている。したがって、これら検査がきちんとなされていることが、患者あるいは受診者の信頼を得るうえで重要であることは言うまでもない。そのためには検査の高い精度や正確性が求められる。これらを担保するのが精度管理であり、施設あるいは検査室内で行われる日々の管理としての内部精度管理と施設を横断して自らの施設のデータが他施設と比較してどのくらいの位置にあるのか、それを確認し足元を見直すために行われるのが外部精度管理である。内部精度管理あっての外部精度管理ともいえる。本稿では内部ならびに外部精度管理について概説する。一般的に広く行われている血液、尿、便などの検体検査で普及してきた精度管理であるが、生理機能検査や画像検査にもその必要性が求められてきている。さらにベッドサイドで用いられるPOCTにおいてもしかりであり、現状についても触れる。検体検査においては機器や試薬の進歩によりデータの集束状況は非常に良好な状態になってきているが、検査室における日常業務の中にあって機器任せにすることなく絶えずデータを気にしておく姿勢が内部精度管理には欠かせない。外部精度管理では本学会の精度管理事業の位置づけを示しつつ、その重要性について紹介する。昨今、ISO15189 ならびに医療法における「精度の確保」など、検査室の品質保証が叫ばれている。本稿がそれらの理解につながれば幸いである。

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© 2019 一般社団法人 日本総合健診医学会
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