総合健診
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46 巻 , 2 号
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特集
臨床検査と総合健診
  • 田内 一民
    原稿種別: 特集
    2019 年 46 巻 2 号 p. 219-225
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     一般外来と異なり、健診では受診者の主訴は少なく、全身状態の診断には検査、特に検体検査に寄与するところが大きい。二次予防から一次予防に重点が置かれる現在では、精度の保証された臨床検査データは、疾病の早期発見、改善効果の判定基準に繋がっている。今後は、ゲノム解析の進歩、さらに個人データの蓄積に伴い受診者個人の判定基準、生活習慣改善の健診システムが構築されることが予想される。

  • 鈴木 隆史
    原稿種別: 特集
    2019 年 46 巻 2 号 p. 226-235
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     臨床検査には大きく、検体検査、生理機能検査や画像検査、さらに特殊検査として内視鏡検査がある。医師は、問診や診察に加え、必要と思われるこれら検査を組み合わせることにより疾患・病態の診断、治療とその後の経過観察を行っていく。そのため臨床検査は重要な役割を担っている。健診においてはその多くが症状のない受診者が対象であり、検査の占める割合は大きなものとなっている。したがって、これら検査がきちんとなされていることが、患者あるいは受診者の信頼を得るうえで重要であることは言うまでもない。そのためには検査の高い精度や正確性が求められる。これらを担保するのが精度管理であり、施設あるいは検査室内で行われる日々の管理としての内部精度管理と施設を横断して自らの施設のデータが他施設と比較してどのくらいの位置にあるのか、それを確認し足元を見直すために行われるのが外部精度管理である。内部精度管理あっての外部精度管理ともいえる。本稿では内部ならびに外部精度管理について概説する。一般的に広く行われている血液、尿、便などの検体検査で普及してきた精度管理であるが、生理機能検査や画像検査にもその必要性が求められてきている。さらにベッドサイドで用いられるPOCTにおいてもしかりであり、現状についても触れる。検体検査においては機器や試薬の進歩によりデータの集束状況は非常に良好な状態になってきているが、検査室における日常業務の中にあって機器任せにすることなく絶えずデータを気にしておく姿勢が内部精度管理には欠かせない。外部精度管理では本学会の精度管理事業の位置づけを示しつつ、その重要性について紹介する。昨今、ISO15189 ならびに医療法における「精度の確保」など、検査室の品質保証が叫ばれている。本稿がそれらの理解につながれば幸いである。

  • 岸本 憲明, 西﨑 泰弘
    原稿種別: 特集
    2019 年 46 巻 2 号 p. 236-239
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     脂質異常症は健康診断で遭遇する機会がもっとも多い代表的疾患であると共に、動脈硬化性疾患発症の明らかなリスク因子の1つでもある。実際の健診現場では総コレステロール、トリグリセリド(TG)、高比重リポ蛋白(HDL-C)、低比重リポ蛋白(LDL-C)などが測定され、日本動脈硬化学会診断基準により診断および重症度が評価される。とりわけLDL-C評価方法について従来のFriedewald式計算法と直接測定法が混乱していたが、近年のLDL-C試薬改良により、現在は直接測定法による評価代用も可能であると、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版では示された。

     一方、非常に冠動脈疾患発症リスクの高い家族性高コレステロール血症(FH)の本邦における診断率は極めて低い。総合健診や人間ドックの場はFHスクリーニングを行う上では有用な機会である。専門診療科への受診勧奨につなげるためにも、同ガイドラインに則り、LDL-C180mg/dL以上の受診者に対しては当日結果説明時に必要な問診の再聴取と触診によるアキレス腱肥厚の有無確認を積極的に啓蒙すべきと考える。

  • 小林 敬, 鈴木 祐介
    原稿種別: 特集
    2019 年 46 巻 2 号 p. 240-246
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     近年慢性腎臓病(CKD)が、“末期腎不全のみならず心血管病死の危険因子”であることが広く認識されるようになり、新たな国民病としてCKDの発症・進展予防対策が積極的に行われている。CKDは早期に発見し、適切な治療介入が出来れば、進展予防に寄与できる疾患である。わが国では、特に学校健診や地域健診などにおける尿検査が他国に比べ普及していることから、CKDの重症化予防に尿検査が寄与している割合は大きい。

     CKDの治療は、かかりつけ医と腎臓専門医の連携が重要であるためガイドラインには、重症度分類に対応した腎臓専門医・専門施設への紹介基準が示されている。CKDの重症度は尿蛋白量と糸球体濾過率(GFR)の程度によって分類される。そのため尿検査のほか、クレアチニンやシスタチンから算出されるGFRを評価する必要がある。「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では、紹介基準が簡素化され、より実用的な内容へ改訂されている。

     また、CKDにおける糖尿病の合併は以前から重要視されていたが、古典的糖尿病性腎症とは経過を異にする病態も増加し、糖尿病性腎臓病(DKD)として捉えられている。高齢化や新薬の登場により、時代とともに疾病概念も変貌を遂げている現在、多職種にわたるチーム医療や産官学の連携を密にし、情報を共有し疾患の克服を目指す時代に突入している。そのなかで、今後より一層、健診やかかりつけ医によるCKD早期発見と進展予防が担う役割は大きく重要となっていくと考える。

原著
  • 角床 香織, 法常 一孝, 森山 博美, 石塚 範雄, 安部 信行, 荒井 親雄
    原稿種別: 原著
    2019 年 46 巻 2 号 p. 247-258
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】2008年度より各種検査項目に腹囲を加え、メタボリックシンドローム健診(特定健診)を実施している。今回、2008年度を基準とし、8年後の2016年度の各種データを男女別・腹囲別・服薬状況別に分析検討する。

    【対象】対象は全国主要都市に居住する商工会議所ならびに大企業の健診受診者を対象に2008年度18,482例(男性、46.21±10.97歳の14,285例、女性、41.14±10.15歳の4,197例)、2016年度22,948例(男性、45.98±12.06歳の17,846例、女性、41.26±10.87歳の5,102例)である。

    【方法】2008年度と2016年度について腹囲、収縮期、拡張期血圧、T-CHO、HDL-C、中性脂肪、LDL-C、血清血糖、HbA1cの各検査値を両年度で比較検討した。

    【結果】2008年度を基準に2016年度各種検査を男女別について検討した結果、2016年度で値が低値を示した項目は男性で7項目、女性では6項目であった。腹囲測定から各検査値を検討すると、男性 85cm未満で7項目、85cm以上で7項目。女性では 90cm未満で7項目、90cm以上で同様に3項目に見られた。さらに年代別に於ける各項目を腹囲から両年度の比較検討をおこなった。

    【考察】2008年に特定健診が開始されてから8年後の健診結果を各項目と比較検討した結果、2016年度で有意に低値を示した検査項目がみられ、受診者のメタボリックシンドロームに対する健康志向が功を奏しているものと示唆された。

  • 上村 精一郎, 宮脇 龍一郎, 柴田 優子, 今任 拓也, 畝 博
    原稿種別: 原著
    2019 年 46 巻 2 号 p. 259-265
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】特定健診で使用される標準的な質問票を用いて、3年間の生活習慣の改善あるいは生活習慣の悪化により、体重がどのように変化するか、縦断的に検討した。

    【方法】対象は2012年と2015年の両年度の特定健診をともに受診した40-59歳の男性3,715人である。3,715人のうち、メタボリック症候群(メタボ群)の判定区分でメタボ群とその予備群に分類された1,425人について特定健診で使用される標準的な質問票の生活習慣項目を用いて、3年間における生活習慣の変化と体重増減について分析した。

    【結果】運動習慣、身体活動、就寝前の2時間以内の夕食および夕食後の間食が改善した群ではその悪い生活習慣を持続した群と比べて、有意な体重減少が認められた。一方、身体活動と夕食後の間食が悪化した群ではその良い生活習慣を持続した群と比較して、有意な体重増加が認められた。また、行動変容ステージが無関心期~準備期から実行期・維持期へ前進した247人では無関心期~準備期に留まった群と比べて有意な体重減少(-2.085kg)が、逆に、実行期・維持期から無関心期~準備期へ後退した168人では実行期・維持期に留まった群と比較して有意な体重増加(+0.982kg)が認められた。

    【結論】3年間における生活習慣の変化と体重増減に関する分析を行った結果、生活習慣の改善を促す指導とともに、良い生活習慣が悪化しないように支援することが重要であることが示された。

  • 藤田 剛, 梅垣 英次, 増田 充弘, 小林 正夫, 山崎 幸直, 寺尾 秀一, 岡田 明彦, 佐貫 毅, 安達 政恭, 村上 学, 久津見 ...
    原稿種別: 原著
    2019 年 46 巻 2 号 p. 266-272
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】健診受診者における上腹部症状の性別と年齢による違いを明らかにすることを目的とした。

    【方法】多施設共同前向き研究に登録された上部消化管内視鏡検診受診者7,278例を対象とした。自己記入式の問診票を用いて上腹部症状として、胃食道逆流症(GERD)症状:胸やけ・胃酸の逆流、食後愁訴症候群(PDS)症状:食べきれない・もたれ感、心窩部痛症候群(EPS)症状:みぞおちの焼ける感じや痛み、の頻度を調査した。性別や年代別の上腹部症状の違いについてカイ二乗検定にて統計学的に検討した。

    【成績】GERD症状、PDS症状、EPS症状を何等かの頻度で認める受診者の割合は37.4%、28.4%、21.2%、週1日以上を認める割合はそれぞれ、7.3%、5.7%、3.4%であった。3つの上腹部症状のいずれかを認めたのは48.9%、週1日以上認めたのは10.8%であった。GERD症状は全体としては男性に多かったが、60歳代以降は男性における頻度が低下するのに対し女性では加齢とともに頻度は上がり、70歳代以上では女性の方が男性より頻度は高くなっていた。PDS症状、EPS症状については、すべての年齢層で女性に多かった。男性では60歳以上で頻度は低くなっており男女差が大きくなっていた。女性ではGERD症状、PDS症状、EPS症状が3つともオーバーラップしている受診者が最も多かったのに対し、男性ではGERD症状のみを認める受診者が最も多かった。

    【結論】健診受診者の約半数に上腹部症状を認めていた。性別と年齢により上腹部症状のパターンに違いが認められた。

調査報告
  • 吉永 眞人, 池田 裕子, 樽井 里佳, 松永 朋子, 上村 雄一郎, 横田 真弓
    原稿種別: 実践報告
    2019 年 46 巻 2 号 p. 273-275
    発行日: 2019/03/10
    公開日: 2019/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】100種類以上の酵素の構成要因として生体の様々な代謝系の調整に関与し、重要な微量元素の一つとされる亜鉛は、蛋白質合成・代謝などの生命維持に関係し、亜鉛の摂取については肉類・魚類・種実類からが主とされる。特に亜鉛欠乏症においては味覚障害・舌痛・貧血・食欲不振など様々な症状が表れ、近年注目される指標の一つとされるが、各医療機関において、あまり測定されていないのが現状である。今回、我々は当院健診受診者を対象に血中亜鉛濃度を測定し、世代別に有意な差が存在するか検討した。

    【対象者および対象期間】2017年7月から12月までの当院健診受診者を対象とした。

    【測定方法】採血は原則空腹時の早朝採血(午前8:30~9:30)。

     血清亜鉛値の測定は、生化学自動分析器LABOSPECT008(株式会社日立ハイテクノロジーズ)およびアキュラスオートZn(株式会社シノテスト)を使用。各年代別の血清を用い比較した。

    【検討方法】

     ①年代別および男女別で血清亜鉛値を比較

     ②「亜鉛欠乏症の診療指針」に挙げられる血清ALP活性値・血清亜鉛値について比較

     ③炎症マーカー(CRP)と血清亜鉛値との比較

    【結果および考察】各年代別に血清亜鉛値を比較した場合、20代男性が最も高く40代女性が最も低い結果であったが、年代別および男女別で明らかな有意差は認めなかった。

     亜鉛欠乏が疑われる血清ALP活性値が 150U/L以下では血清亜鉛値基準値下限 80μg/dLを下回る割合が多く、活性値低下の一つの要因になっているのではないかと推測された。

    また、女性の20代から40代および60歳以上では約4割近くで、潜在性亜鉛欠乏が疑われた。

     炎症マーカー(CRP)と血清亜鉛値は負の相関関係を認めた。

     日本人の1日当たりの亜鉛摂取推奨量は、成人男性 10mg女性 8mgとされるが、その摂取量は男女ともに不足ぎみで、症状はなくとも日頃の食生活の偏りで亜鉛欠乏は潜在的に起こりうる。食生活を意識的に改善することが重要であり、それを知る上で血清亜鉛測定の有用性が示唆された。

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