2019 年 46 巻 2 号 p. 236-239
脂質異常症は健康診断で遭遇する機会がもっとも多い代表的疾患であると共に、動脈硬化性疾患発症の明らかなリスク因子の1つでもある。実際の健診現場では総コレステロール、トリグリセリド(TG)、高比重リポ蛋白(HDL-C)、低比重リポ蛋白(LDL-C)などが測定され、日本動脈硬化学会診断基準により診断および重症度が評価される。とりわけLDL-C評価方法について従来のFriedewald式計算法と直接測定法が混乱していたが、近年のLDL-C試薬改良により、現在は直接測定法による評価代用も可能であると、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版では示された。
一方、非常に冠動脈疾患発症リスクの高い家族性高コレステロール血症(FH)の本邦における診断率は極めて低い。総合健診や人間ドックの場はFHスクリーニングを行う上では有用な機会である。専門診療科への受診勧奨につなげるためにも、同ガイドラインに則り、LDL-C180mg/dL以上の受診者に対しては当日結果説明時に必要な問診の再聴取と触診によるアキレス腱肥厚の有無確認を積極的に啓蒙すべきと考える。