近年慢性腎臓病(CKD)が、“末期腎不全のみならず心血管病死の危険因子”であることが広く認識されるようになり、新たな国民病としてCKDの発症・進展予防対策が積極的に行われている。CKDは早期に発見し、適切な治療介入が出来れば、進展予防に寄与できる疾患である。わが国では、特に学校健診や地域健診などにおける尿検査が他国に比べ普及していることから、CKDの重症化予防に尿検査が寄与している割合は大きい。
CKDの治療は、かかりつけ医と腎臓専門医の連携が重要であるためガイドラインには、重症度分類に対応した腎臓専門医・専門施設への紹介基準が示されている。CKDの重症度は尿蛋白量と糸球体濾過率(GFR)の程度によって分類される。そのため尿検査のほか、クレアチニンやシスタチンから算出されるGFRを評価する必要がある。「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では、紹介基準が簡素化され、より実用的な内容へ改訂されている。
また、CKDにおける糖尿病の合併は以前から重要視されていたが、古典的糖尿病性腎症とは経過を異にする病態も増加し、糖尿病性腎臓病(DKD)として捉えられている。高齢化や新薬の登場により、時代とともに疾病概念も変貌を遂げている現在、多職種にわたるチーム医療や産官学の連携を密にし、情報を共有し疾患の克服を目指す時代に突入している。そのなかで、今後より一層、健診やかかりつけ医によるCKD早期発見と進展予防が担う役割は大きく重要となっていくと考える。