総合健診
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原著
モニタリングツールの利用と健診の継続受診および健康増進行動との関連
中尾 杏子井出 博生武藤 繁貴鳥羽山 睦子古橋 啓子古井 祐司
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 47 巻 3 号 p. 431-439

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抄録

【目的】健康状態や生活習慣のモニタリングを行うICTツールの活用と健診の継続受診との関連およびモニタリングツールの利用頻度と健診結果の変化との関連について検証することを目的とした。

【対象と方法】2013年度に特定健診を受診した40~74歳の人(n=43,043)を対象に、健診受診後のモニタリングツール利用有無別の2014年度の健診受診率を比較した。比較においては、傾向スコアマッチングによる交絡因子の調整を行った。また、モニタリングツールの利用回数と健診結果の変化との関連についても利用回数別の層別解析や重回帰分析により検証を行った。

【結果】2013年度の健診受診者のうち、男女別の傾向スコアマッチングを行い、2014年度の継続受診割合を比較したところ、男性の継続受診割合は利用群81.9%、非利用群72.5%、女性の継続受診割合は利用群77.7%、非利用群70.0%となり、いずれも利用群の継続受診割合の方が有意に高かった。また、男性においてはモニタリングツールのログイン6~11回および12回以上の群で、2014年度の健診におけるBMIや腹囲が有意に減少していた。

【結論】健診の受診後にICTツールを利用して健康状態および生活習慣をモニタリングすることは、次年度の継続受診にも関連していることが示された。これは、自身の健診結果を認識し、生活習慣を意識することが、健康に対する関心や次年度の健診を受けるモチベーションを高めている可能性が考えられる。さらに、男性においてモニタリングの頻度が高い人は次年度の健診結果も改善の傾向が見られており、自己モニタリングの実施によって継続受診および健康増進が促される可能性が示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本総合健診医学会
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